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  常滑市大野町十王町、梅榮車のあやつり人形は、中国の故事をテーマにしています。
 中国の北斉の時代に芒山の戦いで蘭陵王が兜を脱いで素顔をさらしたところ(当時、将兵は戦闘時に兜とともに鉄の仮面をつけ、頭と顔を防御していた)、味方であること知った守備兵たちは弩を下ろして開門し、このことにより北周に勝利したという。この故事が変化し、唐代には「蘭陵王の美貌が兵卒たちの士気を下げることを恐れ、常に仮面をつけて戦っていた」という逸話となった。
 あやつり人形「陵王面をつけて舞う唐子(面かぶり人形)」が、激しく舞い踊り胸を開くと陵王面が飛び出して顔につくという仕掛けです。


1 陵王面をつけて舞う唐子(面かぶり人形)の現状
面被り1   面被り2
顔の傷、額や頭部は胡粉(ニカワ)の生が無くなり剥離や割れが出ている。

面被り4   面被り3
面は長年の使用により、下唇部及び額上部の装飾部は欠けてしまっている。両ほほ部にはひびが入っており間もなく割れてしまいそうだ。

2 陵王面をつけて舞う唐子(面かぶり人形)の復元新調

萬屋仁兵衛   めんかぶり人形
梅榮車のからくり人形「陵王面をつけて舞う唐子」は、春日井市の萬屋仁兵衛工房で頭の復元新調を行っています。(写真左)作業中の萬屋仁兵衛氏、(写真右)復元新調する人形。

(1) 童子頭制作の様子

頭1   頭2
製作には、木曽檜材を使います。木の性質を考え、細く変形しないように、木裏を正面の中央に来るように木取りを行います。人形頭の大まかな輪郭を取った後、細かな彫りを進めて行きます。

頭3   頭4
さらに目・鼻・口などの部分を削りだします。七~八割り頭が彫り上がったら、頭の内部を刳り抜くため、頭部を断割します。また、重量を軽くするため、丸鑿(まるのみ)、すくい鑿、などの道具を使用し内部を削り取ります。


頭5   頭6
接着面の強度を高め檜の脂止めのため、大福帳などの古い和紙を貼ります。裁断面は接着力を強めるように鋸の刃を使い、毛羽立つように切ります。さらに、地塗り胡粉を腰の強い馬毛で塗り、紙やすりで磨きます。

頭7   頭8
季節、気温、湿度の状態により濃度調整を行い塗った胡粉を乾燥させます。中塗りに使用した胡粉を湯で薄め、埃が入らないよう細心の注意を払いながら重ねて塗り上げます。さらに、 中塗りに使用した胡粉を湯で薄めて上塗り胡粉に変化させ、1時間ごとに塗り重ねます。埃に注意しながら、地塗りから数えて合計20~25回ほど塗り重ねます。

(2) 面制作の様子

面1   面2


面3   面4


面5   面6


面7   面8