師走に入って、街は慌しく
どこか浮き足立っている
そんな賑やかな雰囲気とは裏腹に
今年もとうとう結婚できなかったと
新年までの恨めしいカウントダウンに
耳を塞いでいるあなた
行きかう人々は皆カップルで
いや
もしかしたら
この時期に手っ取り早く寂しさを埋めるために
くっついた男女かもしれない
でも
それでも一人でいるよりはまし
などと幼稚な発想で表面的には辻褄を
合わせているのかもしれない
そんな輩や
男連れでなくとも
友達同士で連れ立って
楽しそうに笑っている
、、、、
様に見える人々で溢れかえっている
あなたは
一人だ
あなたの隣には誰もいない
そして
特に行く宛も無い
無駄にダラダラと
ウインドーショッピングを楽しみ
たまたま目に留まった服の値段を見て
買おうかどうか躊躇する
衝動買いでストレス解消もいいが
そんな服を買ったところで
見せる相手もいないし
着ていく場所も無い
今年１年を振り返り
あなたは
婚活を通して様々な男とめぐり合った
しかし
どれもピンと来なかった
でも
そのまま手放すのは惜しいので
細々と連絡は取り続けている
あなたはその男は自分とは合わないと
うすうす気づいているのにも関わらず
その男の持つ条件から
なんとなくはっきりキリをつけることに戸惑いを感じている
あなたはまるで
カードゲームの様に
手持ちの
「男」という
カードを眺めながら
次にもっといいカードが来たら
この中のどのカードを捨てようか考えるのだ
それぞれのカードは皆
帯に短し襷に長しであり
数枚まとまって、初めて１枚の役割を果たしているようにも思える
合コン
パーティー
紹介
オフ会
相談所
オンライン婚活
あらゆる手を尽くして
あなたは次のカードを探す
新しいカードを手元に置いては
また
１枚、手持ちのカードを捨てている
それをただ繰り返すだけだ
あなたが
これはいいかも、、、
と、とびついて拾ったカードは
どこかの誰かが
もう捨てたカードだ
拾ったばかりのときは
なぜ、そのカードが捨てられたのかは解らない
でも、手持ちにしていく中で
あなたもやがて
そのカードを捨てて新しいカードに交換する
カードは巡り、やがて誰かがまた拾う
あなたも同じだ
あなたも誰かの手持ちのカードになっている
しかし
やがて捨てられる
そしてまた
どこかの誰かが
あなたというカードを拾い
しばしの手持ちとする
あなたも捨てられているのだ、、、
こういった
非常に大規模な婚活カードゲームが
この社会の中で行われている
現実では
あなたは
カードでも
コマでもない
一人の、まともな感情を持った人間だ
でも、その人間が
虚しくも
カードの様に誰かから誰かを行ったり来たりしている
こんな不条理な現実に
あなたは戸惑っているけれど
そう思いながらも
手持ちのカードを全て捨てることができない
いつまで経っても上がりが見えない
婚活という名のもとに
その昔はタブーであった思想や事柄が
今は、言い方を変え
方法を変えて
普通のこととしてまかり通っている
恐ろしい時代になったものだ
あなたの健闘を祈ります
