粉ミルクからセシウムが検出され大騒ぎになっている。


第一原発があるところから埼玉にあるその会社の工場まで果たしてセシウムは飛散するものなのか?結論から言うと大いにありうる。今回発電所から飛び散ったセシウムの数量は10のマイナス12乗ほどで、すなわち極々微量のセシウムが、風に乗って各地に飛び舞い降りたものだ。


その多くは太平洋上に沈降したものだが、その当時の北西方向に風が吹いたこともあって、飯館村や福島市の南にある渡利地区などが、南相馬市やいわき市よりも線量はむしろ高い。


しかし、少なからずセシウムは北西ばかりでなくあらゆる方向に流れていき、関東や東海地方が影響を受けても何ら不思議ではない。粉ミルクを製造する過程で、大気中の空気をかなり取り込むそうだが、当然そのリスクは生じている。


濃度は微量で基準値よりもかなり低いが、赤ちゃんが飲むものなのでそのリスクは滅法高い。リスク評価は、単に健康への影響でなく、心理的情緒的不安感も考慮すべきで、この辺りがリスクを評価することになれていないと、すぐさま、健康リスクのみで判断してしまい、後に大きな問題を抱えることになる。


今回の件でも、「セシウムが検出されたが、たちまち健康への影響はない」と政府が発表したが、それを信じるべき根拠が今のところ何もない。「セシウムは検出された。市中に出回っているものについては直ちに業者に回収させ、徹底的にその原因を突き止める。赤ちゃんに対する健康への影響についても早急に関係機関に調査分析させ、そのデーターを全て開示し判断していくことにする。」と本来あるべきだが。


パニックを怖れると、まず「安全宣言」が先に立つ。根拠のない言葉ほど後になって大きな禍根を残してしまう。政治家にとってたいへん難しいだろうが、リスクのない社会はなく、まして今はあらゆる人々が放射能のリスクに遭遇している現状で、むしろ腹をくくり思い切りのよい言動をすることが大切だと思うのだが。