週刊ポストの今週号に、最近の韓国の凄さについての記事が掲載されていたので読んでみた。キムヨナをはじめとする韓国選手のバンクーバーオリンピックの活躍、サムスン、ヒュンダイなど韓国製品の世界的なシェアの拡大、原子力発電など大型プラントの受注による企業の活躍、韓国女性の美人度など、韓国が雄飛する話題に事欠かない。最早、韓国は日本を追い抜くところまできたのかと“錯覚”してしまう論評だ。


ところが、昨日の日経の朝刊に、韓国の貧困層が急増しているとの記事が掲載された、全体の18%にあたる300万世帯が貧困で苦しんでいるらしい。日本では考えられない貧困層の多さだ。


これはどちらも真実である。韓国は、ますます猛烈な格差社会に入り込んでいる。サムスンの役員は一説によると、年収10億円を得ている者もいるそうだ。これくらいのインセンティブがないと、サムスンは世界で勝つことができないのも確かで、その影に国内外の経済戦争や企業内の戦いに敗れていった者たちが大勢いる事を、今回の日経の数字は映し出している。


大事なのは、この300万世帯の貧しい人々が、再度チャンスを得られる社会にすることだ。貧困が貧困のままで固定化されるのではなく、能力があれば何回でもやり直しができる機会がある社会にすることに他ならない。


乏しきを憂えず、等しからずを憂う」と言葉があるが、これまでの日本はまさにそうだった。逆に現在の韓国や中国は、その点格差社会を是認しているようだ。だが、これが本来の資本主義なのだ。その意味で、共産主義国家である中国の内実は、全くの資本主義体制だ。


「等しからずを憂う」は、まさしく共産主義社会の原型であるのだが、今日まで忠実に、見事なまでそれを守ってきたのは中国ではなく、実は日本なのである。ここに来て、日本も格差社会が到来したなどと言われているが、韓国や中国と比較して、日本の格差なんてそれほどでもないし、今後もおそらく大きくはならないだろう。


つまりこれが日本の文化である。


ただ、日本は、韓国や中国、或いはアメリカなどの国よりもさらに、「失敗してもチャンスを何回でも掴む事ができる社会、敗者復活ができる社会にしていくこと」が必要だ。国民の価値観を大きく変えていくことが果たして出来るか、日本の再生はそれにかかっているといっても過言ではない。


株式会社淡海環境デザイン

http://www.ohmi-k.jp