行政書士の大越です。

今日はまた、東京都の青少年健全育成条例問題についてです。

 東京都の健全育成条例の改正案について、東京都はQ&Aを出しましたが、いまいち質問&回答の内容が、批判・反対している人の疑問とずれているような気がします。
 今日ちょっと、逆説的に、それならば、どんな質問に答えれば自分は満足(?)するのかと、考えてみました。
 この問題に興味がある方の、論点整理の足しにでもなればと思います。

 ただ、これらを本当に質問するとしたら、ちょっと時期を逸してしまいましたね・・・。遅かったかな・・・
 でも、再継続審議になるかも知れないし、東京都は条文修正する気はないようだから、どうでしょうか?
 聞くとしたら、電話じゃ聞ききれないし、FAXか手紙で出して個別で答えてくれるんでしょうか・・・?

(※5月25日追記※)

一応編集し終わりました。

これで条例に関する質問全部というわけじゃないですけど・・・


書きっぱなしもアレなので、この質問を東京都青少年課にFAXででも質問してみました。

もう議会前だし、いろいろお忙しいと思うので、お返事いただけるかはわかりませんが・・・。


・・・ただ、仮にお答えを頂いたとしても、どんな回答が最善かは、実は大体予想ができます。
今のうちに予想回答集書いて、どこかに封印しておいてみようかな・・・


(※追記ここまで※)


(※6月10日追記※)

 東京都青少年課より電話がありました。

 「個別の質問には回答できない。ウェブサイトの、質問回答集や、見解を見てほしい」とのことです。

 質問回答集にないところをお聞きしたかったんですけどね・・・

(※追記ここまで※)


<条例改正案全体について>

■今回の条例改正にあたり、いちばんの当事者である青少年自身の意見は聞いたのですか?



■東京都青少年問題協議会の議事録を見たところ、会議上で「問題がある悪質な図書類」として例示された作品の中に、「表示図書」が含まれていました。つまり、青少年が購入できない作品でした。これでは、「非実在青少年」の必要性の有無について、不正確な情報によって議論されていたのではないですか?


<都議会での議事について>
■都議会の総務委員会の参考人招致において、参考人の宮台真司さんが、「解釈は条文が全てである。東京都の説明の資料は、その解釈を担保するものではない」ということをおっしゃっていました。これは、本当ですか?



<東京都青少年健全育成条例の運用状況について>

■東京都の不健全図書指定をうけた書籍は、書店で取り扱われず、またほとんどの場合、取り寄せも出来ません。なぜですか?



■東京都の不健全図書指定をうけた書籍が書店で取り扱わないのが、もしも業界の過剰な萎縮であるならば、東京都は、それは過剰な萎縮で消費者の便益を損なっているとおもうので、過剰な対応をしないよう流通業者に指導できないのですか?


■もしも「非実在青少年」に関する事項を今回の条例で不健全図書の基準に追加しなかったら、どのような悪影響が起こると予想しているのですか?



■東京都の説明には、「不健全図書や表示図書になったとしても、成人への流通は自由です」とありますが、作者や出版社にとっては、その出版物が一般向けであるか成人向けであるかは、大きな影響力を持つことになるのではないですか?



■もしも今回の条例案が可決されて施行された時に、東京都の想定に反して、該当しないはずのマンガが販売停止になったり、物語のストーリーが当初の予定と変更になるなど、創作の現場で現に萎縮が起きてしまった時は、東京都はどのように対応してくれるのですか?



<条例改正案について(非実在青少年関係)>

■東京都の説明では、「性交を示唆するに止まる表現にとどまるものが該当する余地はない」とありますが、改正案の条文では「実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより」とあります。この条文の言葉では、説明のようには言い切れないのではないですか?


■東京都の説明では、「単に体が折り重なっているシーンなどは該当しない」とありますが、改正案の条文の「実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより」という文言では、まさにこのようなシーンも該当するのではないですか?



■「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」とありますが、青少年が漫画やアニメから悪影響をうけているという具体的な研究結果や統計資料はあるのですか?



■改正案の第9条の2の第2号によって、東京都が新たに表示図書とすべきと考える雑誌・書籍は、現在、何種類ぐらいあるのですか?また、それらの東京都内での流通部数はどれぐらいですか?


■東京都の説明の中に、「悪質なもの」という言葉が出てきますが、説明の中において、「悪質」とは、どのような意味で用いていますか?



■東京都の説明では、新たに規制される非実在青少年関連については、「直接明確に性交を描写したもの」のみが対象になると説明がありました。しかし、「直接明確に性交を描写したもの」であるならば、現在の施行規則にある「卑わいな感じを与えるもの」に該当するので、わざわざ条例を改正する必要はないのではないですか?「直接明確に性交を描写したもの」であるのに、「卑わいな感じを与えないもの」とは、具体的にどのような場合があるのですか?



■新たな不健全図書の基準として、「強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので肯定的に描写したもの」とありますが、強姦等であれば、現在の基準の「犯罪を誘発するもの」として施行規則に定められている、「自殺又は刑罰法規に触れる行為を賛美し、又はこれらの行為の実行を勧め、若しくはそそのかすような表現をしたものであること。」もしくは「自殺又は刑罰法規に触れる行為の手段を、模倣できるように詳細に、又は具体的に描写し、又は表現したものであること。」にすでに該当するのではないですか?それに、13歳未満の青少年との性交渉は、合意の有無に関係なく強姦罪になります。



■新たに不健全図書の基準に該当する描写が、「18歳未満として描かれているもの」が行う行為に限るのであったら、たとえばストーリーが全く同じで、それが「強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもの」であっても、「10歳の少女」という設定であるか、「10歳の少女に見えるが、実は100歳の魔女」という設定であるかで、指定されるか否かが分かれてしまいます。これは、おかしいのではないですか?



■「肯定的に描写したもの」とありますが、作品の主題について「肯定的」か「否定的」かを判断することは、もとより個人の価値観にたよるものであるので、法律などで絶対的に決められるものではないのではないですか?



■作品の中には、読者に問題提起するために、表現技法としてあえて肯定的に描写したものも存在します。そのような作品は、肯定的か否定的かをどのように判断するのですか?また、読者や識者の間でも、その主題についての解釈がわかれてしまった作品は、どのように判断するのですか?


■条文では、非実在青少年の定義として、「年齢を想起させる事項の描写」という言葉が使われています。一般的に考えて「年齢を想起させる事項」という言葉では、「見た目」や「絵柄」そして「声質」や「声の高さ」「言葉づかい」なども含まれるのではないですか?



<条例改正案について(児童ポルノ関係)>
■条文の中に「児童ポルノをみだりに所有しない責務」とありますが、もしもこの条例が施行されたら、都民はどのような行動をとらなくてはいけないのですか?もしも、「義務ではないから、特に何もしなくてよい」というのならば、わざわざ条文に盛り込む必要がなくなってしまいます。



■青少年の健全育成のための条例に、なぜそれと関係のない児童ポルノの所持に関することが盛り込まれたのですか?



■諮問にも答申にも、単純所持禁止を求める部分はなかったのに、なぜ児童ポルノの所持に関することが盛り込まれたのですか?



<条例改正案について(青少年性的視覚描写物関係)>
■表示図書と不健全図書にはすでに、「青少年に観覧させない」ことが義務づけられています。そうだとしたら、「青少年性的視覚描写物」の、「青少年へのまん延をさせない」責務はいらないのではないですか?何のために、この条文はあるのですか?



■「青少年をみだりに性的対象として扱う風潮」とは、具体的にどのような風潮のことを指していますか?



■改正案の第18条の6の2に、「都は、青少年性的視覚描写物をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて」とあります。この条文を読むとつまり、成人が創作物の中においても青少年を性的対象とすべきでないと規定していると読めますが、そのように解釈してよいですか?



■改正案の第18条の6の2にある、「事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努める」とは、具体的にどのようなことをして機運を醸成するのですか?


■改正案の第18条の6の2に、「青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有する。」とありますが、「まん延を抑止するための環境の整備」とは、具体的にどのようなことをするのですか?



■改正案の第18条の6の2に、「都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。」とあります。これは、どのような活動に支援や協力をおこなうのですか?たとえば書店に「青少年性的視覚描写物」を取り扱わないように推奨したり、「青少年性的視覚描写物」を取り扱うイベントに会場を貸さないように会場運営者に進言したりする、いわゆる「悪書追放運動」を東京都が後押しするものではないのですか?



■改正案の第18条の6の2にある、「まん延の抑止」とは、どのような意味ですか?法律で「まん延の抑止」とは、伝染病や害虫などの法律にしか使われない言葉です。すなわち、「根絶か、根絶に近い状態にする」と解釈出来てしまうのではないですか?


■改正案の第18条の6の4に、「都民は青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め」とありますが、これはつまり、具体的にどのようなことを理解しなければならないのですか?



■改正案の第18条の6の4に、「青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し」とありますが、このようなものが青少年の健全な判断能力を阻害するという知見はあるのですか?



■改正案の第18条の6の2に、「都は、みだりに性的対象として扱われることにより心身に有害な影響を受けた青少年に対し、その回復に資する支援のための措置を適切に講ずるものとする。」とは、具体的にどのような青少年に対して、どのような処置をとることをそうていしているのですか?



<その他>
■東京都のQ&Aには「このような漫画などを子供に見せたくないというのは、親として、ごく自然の感情であり、このような漫画などを子供に見せないのは、未熟な子供を守る大人としての責務であると考えています。」という回答がありました。これは、都民に対して特定の価値観を一方的に押しつけ、教育の多様性を排除するものではないのですか?



■たとえば、「子供であっても、成長して相応に分別がついたならば、良質悪質を問わずさまざまな作品に触れて欲しい」という育て方もあるのではないですか?今回の条例改正によって、また東京都の「このような漫画などを子供に見せたくないというのは、親として、ごく自然の感情であり、このような漫画などを子供に見せないのは、未熟な子供を守る大人としての責務であると考えています。」という言葉とあわせると、そのような価値観もつ保護者は、その教育方針を否定され、排除されてしまうのではないですか?