たまたま、土曜の夕方、NHKの番組がテレビに映し出されていた。私は最初ほとんど映像をみていない。静かに番組は進行していたようだった。

ところが、途中から、非常に荒げた声が聞こえてきた。ただごとではない、と思わせるものがあった。

映像をみると、カンニング竹山という名前でタレント業を行っている竹山隆範氏の顔が画面いっぱいに広がっていた。

この番組の趣旨はそのときまったくわからなかったが、あとで、「3.11」から5年経って現地の様子を取材しながら、タレントたちがコメントをするというライブ番組で名取市からの放送というものだった。

番組名を確認すると、次のようである。

2016年3月12日(土)16:00-18:45
 東日本大震災5年特集 あさイチ
 アッキーとサンドウィッチマンが当被災地の大健闘!
 三陸鉄道からの絶景
 美味!サンマラーメン
 糸井重里 カンニング竹山 はるな愛 高橋みなみ

ネットで検索してみると、この番組へのコメントや記事は2016年3月13日(日)10時現在、ほとんどなかった。

あるのは、1日前の番組に対してである。

 2016年3月11日(金) 09:50~11:25
 フジテレビ ノンストップ!

これについては竹山氏本人がtwitterで以下のようにふりかえっている。

「3月11日が間もなく終わる。今日メディアでは被災地の今と称して辛く悲しい映像に音楽を合わせそんな物語ばかりを流していたと思う。それが視聴者にとってイメージ通りの被災地だとでも言うのかよ。違うよ!皆、普通に明るく元気に暮らしているのに。そこもちゃんと報道してよ~と思ったりした1日。」(2016/3/11 23:31)

ところが翌日は、これとは論調が少し異なっていた。

きちんと聞いていたわけではないので以下で書くことはあくまでも私の受け取り方が混ざっているかもしれない。

少なくとも私には以下のように竹山氏が訴えていたように聞こえた。

原発事故が起こったこと、避難者が今も10万人以上いること、そのことに対して、「他人事」のように語ることへの不満。

原発事故は「起こった」ものではなく、「起こした」もので、誰が「起こした」かというと、「東電」とか「政府」とかそういうことではなく、関東圏に住んでいる「自分たち」ではないか、つまり、「自分たちが原発事故を起こした」という意識が希薄すぎる。

事故が起こって大変だったね~、というのではなく、事故を起こしてしまって本当に申し訳ない、という「謝罪」の気持ちと、そして、そのための「反省」や「償い」ということが、「5年」のテレビ番組(の制作者と出演者)に感じられない。

ひな壇のようなところに数名のタレントが並んでいる。

竹山は顔を真っ赤にさせて、憤りながら語っている。

誰も遮る者はいないが、かといって、誰も竹山氏の言葉を拾わない。

糸井重里も、黙ったままだった。

やや長めの独白が終わったあと、また、いつもの日常に戻るかのように、ごくごく普通のコメントがやりとりされ、そして番組は終わった。

確かにその姿は、ある種の芸人としてのパフォーマンス(個性)というとらえ方もできなくはない。

言ってみれば、彼はブチ切れるという役柄をこなしているのかもしれない。

しかし問題はその中身である。

竹山氏のそのときの言葉には、「役柄」としてではなく、大切な「声」として、「役柄」をこえて、響いた。

「5年」ということを単に「仕事」としてこなすのでもなく、与えられた役割をただ演じるのでもなく、5年経った「今ここで(2016年月12日、名取市で)」言わねばならないことを、竹山氏は語った、と思う。

大切なメッセージだった。

***

*よく調べてみると、ネット記事として以下がありました。

 あぼがどラボ 2016年3月12日
 カンニング竹山、NHK震災番組で放送事故寸前のブチ切れで炎上!?放送内容は?
 http://taiganjouju.com/1229.html

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