読んだ本
Don't Follow the Wind 展覧会公式カタログ 2015
Chim↑Pom + 椹木野衣 + Don't Follow the Wind実行委員会 編著
河出書房新社
2015.09

展覧会概要

会期 2015年3月11日-20XX年X月X日 
会場 東京電力福島第一原子力発電所事故による帰還困難区域内
発案 Chim↑Pom

***

ひとこと感想
この、大声でその名を言うのがためらわれる「Chim↑Pom」による本(展示会カタログ)。福島第一原子力発電所付近の帰還困難区域を舞台とした、いつか来る帰還困難指定解除によってようやく観ることができる展覧会の全容。

「目を閉じて  鑑賞して」と確かに書いてある。

何を「鑑賞」するのか。それは、「帰宅困難区域」として封鎖されている場所に置かれた「Dont Follow the Wind」の作品を、である。

つまり、これらの作品は「封鎖」が解除されるまでは、基本的に「鑑賞」することができないし、たとえその時がやってきても「鑑賞」が望まれうるのか、甚だ心許ないというのは、現状であろう。

「晴れの日も、雨や雪の日も、繰り返される数えきれない日々をこの街とともに過ごしていくこの展覧会は、封鎖が解かれるまでは一般に直接みられることなく開催されていく。」(29ページ)

言わば、「不可視の展覧会」なのである。

いや「展覧会」という言葉も不適切だろう。

まさしく「モニュメント」という言葉が似つかわしい。

しかし重要なのは、そうした「モニュメント」そのもを「見る」ことではなく、その「場所」に「思い」を寄せることである。

(なお、不定期に世界各地に「ノン・ビジター・センター」を設置して展覧会が行われる。ほか、ウェブでも関連する情報発信が行われている。たとえば2015年秋にはワタリウム美術館で展覧会が行われた。)

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目次
美術と放射・能 「Don’t Follow the Wind」展の旗が立つ位置
 椹木野衣

椹木野衣は、以下のような対比表を示している。

美術 放射能
美術作品 放射性物質
放射線 美術の力

「Don’t Follow the Wind」展参加アーティスト
アイ・ウェイウェイ 
 太陽光システムの作品「希望の光」
 写真のインスタレーション「家族アルバム」
グランギニョル未来
 車両「デミオ福島2015」
 芝居(?)
小泉明郎
 「人間」
タリン・サイモン
 ?
竹内公太
 写真と部屋「タイム・トラベラーズ」
竹川宣彰
 木材、陶器「時を超える電気」
Chim↑Pom
 写真「青写真を描く」
ニコラス・ハーシュ&ホルヘ・オテロ=パイロス
 「Radioactive But」
トレヴァー・パグレン
 ガラス「Trinty Vube」
エヴァ&フランコ・マッテス
 写真「Fukushima Texture Pack」
宮永愛子
 ガラス、呼気、縄「留め石」
アーメット・ユーグ
 「once upon a time breathing apparatus for breathable air」

DFWに寄り添う
 宇川直宏
 園子温
 加藤翼

キュレーターが「みた」DFW
 窪田研二
 ジェイソン・ウェイト
 エヴァ&フランコ・マッテス

福島の現状―来る・な
 緑川雄太郎

実行委員会座談会
DFWをもっと深く「みる」ための21のキーワード
年譜 3.11からDon’t Follow the Wind展ができるまで
DFW関連資料・アーカイブ



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