3-6.限界
外科へ移ってからの私は同室の人達と会話を全くしていませんでした。
挨拶程度はしても、管が邪魔であり疲弊しきった体では、ただただほっておいてもらいたかったのでした。
また、彼女達三人が母と同世代だということも、関わりたくない理由でした。
閉塞していた大腸が正常に動き出そうとすれば、当然に便意が戻るということになり、寝たきりの私はオムツの中で排泄をしました。
看護師にオムツ交換をしてもらわなければなりません。
その行為自体を私は恥ずかしいとは思っていませんでしたので抵抗はなかったのです。
しかし、同室のご婦人方には許されなかったようでした。
起き上がることができないへたれで不愛想の私に同情はしてくれませんでした。
すぐさま窓を全開にして、一斉に病室を出ていきました。
(物凄く悔しかった!)
私は(迷惑をかけて申し訳ない)と思いつつも、彼女達のその露骨な態度に傷つくより怒り心頭でした。
こうして、私の負けず嫌いの気性に再び火が付きました。
(何が何でも、明日はベッドから起き上がってやる!)
(それには、管を絶対に外してもらう!)