老後の安心6点セットの中心となるものは、任意後見契約です。
これは、将来認知症発症等により判断能力が減退し、自分で財産管理・身上監護
が出来ない時に備えて、前もって任意後見契約を信頼できる人と交わして
おくものです。
実際に判断能力減退が出現した時点で、任意後見人(受任者)は
家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求し監督人が選任されてから
契約が発効し、財産管理・身上監護の代理を任意後見人が行います。
(幸運にも、本人の判断能力が減退しなければ、任意後見契約は発効せず、
利用せずに済みますので、契約を結んでおけば安心です)
このように安心な任意後見制度ですが、実際の利用率はごく僅かです
(2020年時点の成年後見制度利用者23万2千人強のうち任意後見制度
利用者は僅か1%強に過ぎません。ほとんどが法定後見制度利用者です)
※法定後見制度は、本人の判断能力が減退し家族など周囲が異変を感じた
時点で家庭裁判所に後見人の選任を請求し、本人の判断力の減退状況に応じて
後見人・保佐人・補助人などが選任され、本人の財産管理・身上監護を
行います)
任意後見制度の利用が進まない原因はいろいろあると思いますが、
・制度自体が周知されていない
・自分は大丈夫(認知症発症しない)と根拠なく思い込んでいる人が多い
・老後資金が少なく、できるだけ支出を押さえたい
・任意後見人になる人が信頼できるか否か分からず不安
などが挙げられます。
しかし、頼るべき家族、親族、友人がいないおひとりさまの場合は、
認知症発症リスクを忘れないで準備を進めるのが良いと思います。