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かんのおはなし: 子どもの育ちの場のことを研究している菅野先生が参加してくれたある日の記録。毎日一緒にいる母たちとはまた違う視点で綴っていただきました。



【 豆まきにみる子どもの育ち 】

 

先日行われた「豆まき」の日にお邪魔しました。「豆まき」は割と多くの自主保育でなされている行事のひとつです。たいてい、現役かOGOBの親が鬼役となって登場します。

この日、鬼役でゲスト出演したOG母のKさんに「今日来たのは、たまたま?それとも豆まきだから来たんですか?」と聞かれました。「豆まきだから来ましたー」と答えると「好きですねー」と言われてしまいました。そう、好きなんです。「豆まき」が、と言うより、鬼に対する子どもたちの反応を見るのが。腰が抜けるほど怖がっていた子が、翌年には鬼に向かって豆を投げられるようになったり、いつもは誰に対しても強気な態度をとっている年長児が、鬼を見るやいなや当番の大人にしがみつき離れなかったり・・。鬼に対する子どもたちの反応からは、個性や育ちが見えてきます。

今回私が注目していたのはOBEさん(小2)です。ここ数年のおひさまの豆まきはEさんの都合に合わせて設定されている(もちろん本人はそのことは知りません)のではないかと思われるほど、私以外の大人も豆まきのときのEさんに注目しています。というのも、現役時代のEさんの鬼の怖がりようは、伝説級のものだったからで、以来、卒会してもEさんの学校が休みの日に設定されています。


この日、鬼が登場すると、現役の子どもたちは一目散に逃げたり、当番母にしがみついたりしていました。一方、Eさんは驚きも怖がりもせず(内心はわかりませんが)、その様子を伺っています。ただ決して無視はしておらず(できないのかも)、鬼と一定の距離を保ちながら、鬼が移動するとEさんも移動します。子どもたちがあまりにも遠くまで逃げてしまったので、鬼は一旦トイレのあたりに隠れることにしたようです。その様子をEさんはしっかりと確認していました。子どもたちが戻ってきたとき、Eさんはどうするかなと、見守っていました。もしかしたらEさんが子どもたちに「鬼が隠れているから逃げて―」というかもしれない、だったらその前に鬼に知らせるべきかなどと考えていたのですが、Eさんは戻ってきた子どもたちに対してニコニコして手を振り出迎えたのです。子どもたちが安心して手を振り返した、その瞬間、鬼たちが再び現れ、子どもたちは再び逃げ回ります。

Eさんが手を振るのをみたとき、私は「あー、Eさんはもうこっち(大人)側についているのだ」と思いました。

子どもにとって身近な想像物、サンタクロースをいつまで信じていたかについて調べた研究では、7歳くらいでサンタクロースを信じなくなる(正体を知る)子どもが多いことがわかっています。正体を知ってから、特に年下のきょうだいがいる場合には、一緒に騙す側になることがあるようです。鬼とサンタクロースは同じ想像物でも異なるところがありますが、Eさんは怖がる側ではなく、怖がらせる側になったのかもしれないと感じました。



菅野幸恵先生( 青山学院大学 コミュニティ人間科学部 教授)
幼稚園教諭・保育士を目指す学生に発達心理学を教えながら、子どもの育ちの場としての自主保育に関心を持ち、フィールドワークを重ねてきた。原宿おひさまの会には月に一度くらい参加。

 

 


次回の体験日は特に決めていませんが、参加ご希望の方は↓のリンクより、ご連絡ください。3/25〜4/11は春休みとなります。


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