青山学院大学で子どもの育ちの場のことを研究している菅野先生が参加してくれたある日の記録。毎日一緒にいる母たちとはまた違う視点で綴っていただきました。
年長Uさんがランドセルを買ったというので、何色?と聞くと案の定「教えない」と返ってきたのですが、母がそばにいたからか、その後すぐに「赤」と教えてくれました。ちょっと意外だったので、母であるHさんに聞くと、3月に卒会したYさんやRさんも「赤」を選んだそうで、その影響だろうとのことでした。その前の年に卒会したMさんも「赤」だったようです。どうも赤いランドセルを選ぶのには上の子の影響があるようです。ランドセル選びだけではなく、上の子がしていることをしたがることはよくあります。木登りだったり、折り紙だったり。
この日もUさんは午前中ずっと折り紙を使った工作に黙々と取り組んでいました。手の込んだクマの女の子が出来上がりました(なんとワンピースの下に下着も履いているんです!)。折り紙を使った人形作りは、Hさんによると、卒会したYさんがよくやっていた遊びのようで、見ているそばから真似することもありますが、時間が経ってから同じことをしていることもよくあります。上の子への憧れは子どもの育ちの原動力になります。そしていつしか憧れていた自分が誰かから憧れられる存在になります。
年下の子どもとのかかわりも大事です。この日折り紙をしているUさんのそばには、2歳の子がずっといました。Uさんはこの子にもクマの人形を作ってあげていたようでした。
年少のMさんは、3歳のKさんと木の枝を持って戦いごっこのようなことをしていました。意図せずKさんが振り回していた枝がMさんの目の近くにあたったのですが、Mさんは怒ることなく、ちょっと涙を流しながらもこらえていました。
もちろん異年齢のかかわりはポジティブなものだけではなく、いざこざも起きます。小さい子が大きな子に果敢に(いや無謀にも)立ち向かっていくこともありますし、大きい子が小さい子に手加減せず強くあたることもあります。ぶつかりあうことで、お互いの力の差を知り、それがそれぞれの育ちにつながっていきます。
菅野幸恵先生 (青山学院大学 コミュニティ人間科学部教授)
幼稚園教諭・保育士を目指す学生に発達心理学を教えながら、子どもの育ちの場としての自主保育に関心を持ち、フィールドワークを重ねてきた。原宿おひさまの会には月に一度くらい参加。
基本的に平日は毎日9時半〜14時まで活動しています。
興味のある方・参加してみたい方は一度ご連絡のうえ、遊びにいらしてください。
お待ちしています。
★9月中は年少以上のお子さんの見学の受け入れを見合わせております。
10/11(月)より再開いたしますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。