青山学院短大で子どもの育ちの場のことを研究している菅野先生が参加してくれたある日の記録。毎日一緒にいる母たちとはまた違う視点で綴っていただきました。

 

おひさまが活動を再開したと聞いて、早速遊びに行きました。

久しぶりに会う子どもたちはみなひと回り大きくなっている気がします。それは身体だけではなく、それぞれの中身が成長することで、子どもたちの関係も昨年までとは違っているようです。昨年までは一方的に泣かされていた子が泣かずに言い返していたりと、どの子どもの変化も気になるのですが、一番目を見張ったのが、この春レギュラー入りを果たしたRくんです。

 

Rくんは、生まれつきいわゆる「ハンディ」があるお子さんです。0歳のころからお姉ちゃんと一緒におひさまに来ていて、赤ちゃんの頃からみんなにかわいがられてきました。今回伺ってRくんと他の子どもたちとのかかわりがちょっと変わったように思ったのです。ただかわいがられる存在ではなく、遊び相手として認識されるようになったように感じました。たとえば、年長のEくんが両目を指で吊り上げ、舌を出してRくんの前に顔を出すと、RくんがバチンとEくんの顔を叩きます。他の子も同じように変顔をするとRくんが叩きます。そんな遊びを繰り返しています。そのやりとりがともかく面白いのでしょう。叩かれた方も叩く方も笑っています。さらに興味深かったのが、子どもたちがRくんに叩かれてもやり返さないことです。遊びだからということなのかもしれませんが、別の子だったら遊びでもやり返すところをやり返さないのはどういうことなのかなと考えていました。

 

子どもたちはRくんにどんな「ハンディ」があるかは詳しくは知りません。なによりもまずRくんとして出会っています。そのなかで、子どもたちなりにRくんのことを理解して、自然とRくんとのかかわりを体得しているのだと思います。叩かれても(結構痛そうなのに)やり返さないのは、腫れ物に触るような特別扱い(我慢しているの)ではなく、Rくんに叩かれるのが面白いから叩かれるという普通の反応なのだと思います。だから当然Rくんといえども、ダメなことはダメ。私は遠くにいたので詳細は見ていないのですが、活動中Rくんが一つ下のMくんを泣かしているような光景が目に入りました。それに気づいたEくんはつかさず「なにやってんだーR-!」を大きな声を出して、そちらのほうにかけていきました(Rくんを叱るつもりで)。

 

Rくんはお姉ちゃんと一緒に卒会することが決まっているので、一緒に遊ぶことができるのは今年度限りなのですが、子どもたちとの関係が今後どうなっていくのか本当に楽しみです。

 

 

菅野幸恵先生(青山学院女子短期大学子ども学科教授)
幼稚園教諭・保育士を目指す学生に発達心理学を教えながら、子どもの育ちの場としての自主保育に関心を持ち、フィールドワークを重ねてきた。原宿おひさまの会には月に一度くらい参加。

 

 

次回の体験日は特に決めていませんが、参加ご希望の方はこちらへご連絡ください。8月は夏休みとなります。

原宿おひさまの会

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