青山学院短大で子どもの育ちの場のことを研究している菅野先生が参加してくれたある日の記録。毎日一緒にいる母たちとはまた違う視点で綴っていただきました。
急に冷え込んできた日のおひさま。
春プレでの活動です。
この日は陽が出ていたので比較的過ごしやすい一日でしたが、ずっと野外にいると否が応でも身体は冷えてきます。
どんなに寒くても子どもたちはやりたいことが先。
お昼を食べた後、大きな滑り台で遊びはじめました。最初は荷台を滑らせていた(それはそれでツッコミたくなるのですがここではおいておき)のですが、そのうちジョウロで水を流し始めます。滑りやすくするためなのか、掃除のためか(たぶん両方)わかりませんが、どんどん流します。そのうち裸足!になった子どもたちが降りはじめます。さすがにお尻をつくのは冷たいと思うのか、上手に歩いて降ります。ただ来年年少に上がるマメのAさんは歩くとどうしてもへっぴり腰になってうまく降りられません。とうとうお尻で滑りはじめました。当然台は濡れているのでお尻も濡れています。見ているだけで冷えてきます。さらに追い討ちをかけるようにAさんが滑っているところに上から水を流す年長。Aさんはパンツまで濡れたでしょう。しかし、こっちの心配はよそにAさんはその後別の遊びに興味が移り、お尻が濡れているのも気にせずに楽しそうにしばらく遊んでいます。
しかし突然、スイッチが切れたようにAさんの動きが止まりました。気づいた年長の子や大人が促して着替えても固まったまま。唇はピンクでしたから完全に冷え切ったわけではなさそうです。身体が冷えたこともありますが、寒さに気づいた気持ちがもう動かなくなったのでしょう。
大人の場合、この寒さの中水をつかったら冷えるというのが先立ち、真冬に敢えて水遊びはしません。けれど子どもはやりたいが先。水を流したら面白そうと思ったらやってみないとすみません。氷を見ても、とりあえず触ってみて後で冷たがります。だから言ったじゃないは通用しません。やってみることでいろんなことを学ぶのです。
菅野幸恵先生(青山学院女子短期大学子ども学科教授)
幼稚園教諭・保育士を目指す学生に発達心理学を教えながら、子どもの育ちの場としての自主保育に関心を持ち、フィールドワークを重ねてきた。原宿おひさまの会には月に一度くらい参加。
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