青山学院短大で子どもの育ちの場のことを研究している菅野先生が参加してくれたある日の記録。毎日一緒にいる母たちとはまた違う視点で綴っていただきました。前回の記事はこちらをどうぞ。

 

晩秋、私としては珍しい晴れの日(おひさまに行くときは雨確率がとても高いのです)。この日は年長が遠出(拠点以外のところに出かける)のため、年中年少だけの活動でした。自主保育のような小さい集団の場合、ひとりがいないだけでずいぶん場の雰囲気が変わります。それが年長全員がいないとなると、それはもう違います。いつもは口数少ない子が初めからハイテンションだったり、年長がやっていることとおんなじことをしてみたりと、普段と異なる様子が見られます。もちろん、年長がいようがいまいがあまり変わらない子どももいるのですが。
 

 

ある子は、この指とまれを何度も何度もしていました。遊びをするために仲間を募るというよりも、この指とまれをすること自体が目的なのかなというくらい、何度も繰り返します。それに負けじと他の子がこの指とまれをしたりして、この指とまれ合戦みたいな様相にもなっていました。別の子は他の子を従えて遊びを取り仕切ります。普段は年長の言動に振り回されたりびくびくしている年中年少の子が実に生き生きとしています。押さえつけられることからの解放のようにも見えますが、子どもからすると、自分も同じようにやってみたいという憧れの要素が強いのではないかと思います。いつもされていることを自分がする側になるのです。やってみてはじめてわかることもあるし、案外できたりできなかったりもあります。そのようなチャレンジの繰り返しが成長につながっていくのだと思います。
 

 

さて、活動がそろそろ終わりに近づいたころ年長の子どもが遠出から戻り年中年少と合流しました。するとどうでしょう。今まで意気揚々としていた子たちのトーンがしぼんでいきます。ある子は母のところに来て「早く帰ろう」という始末。年中年少の天下は短かったということでしょうか。それでも年長とともに過ごせる時間はあとわずか。みなの時間を楽しんでほしいなと思います。

 

菅野幸恵先生(青山学院女子短期大学子ども学科教授)
幼稚園教諭・保育士を目指す学生に発達心理学を教えながら、子どもの育ちの場としての自主保育に関心を持ち、フィールドワークを重ねてきた。原宿おひさまの会には月に一度くらい参加。

 

 

次回の体験日は2018年11月26日です。くわしくはこちら

 

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