県立Ａ医療センターのＥＩＣＵから一般病棟に移ってから、素敵な看護師長さんに出会った。
私は寝たきりになってからいろんな心を捨ててきた。捨てざるをえなかった。開き直らないと生きていけない。
恥ずかしいという心や、女としての身だしなみや、あらゆることを捨てざるをえなかった。
そんな私に、看護師長さんが毎朝来てくださり、私の顔にクリームをぬって下さり髪をといてくださり、鏡を見せてくださった。私はそんなことしていただけるなんて夢にも思わず、有り難くて嬉しくて看護師長さんが来てくださるのが楽しみでした。そして優しく話しかけてくださり、毎日聴いていた音楽が聴こえてくると癒されるわーと言ってくださり、研修医の先生も癒されるといっていましたよと言って頂きどれほど嬉しかったことか・・・
何か楽しみをと、食べられないからせめて何か味わえないかと飴を一口でも味わえないかと、STの先生に頼んで下さり味わうことができたのです。一口でしたが、美味しかったー。看護師長さんのライムミントの飴。忘れられない味となりました。
それから忘れられない出来事が。
ある日友人が面会に来ているが、会いたいかどうかと看護師長さんがたずねて下さった。そして会いたいと言ったとたんに、看護師長さんは顔にクリームをぬって下さり髪も整え鏡を見せて下さいました。このご配慮に感動しました。
まず私の気持ちを考えてくださり会いたいかどうかを聞いて下さった。そして友達と会うのに身だしなみを整えてくださった。なんて素敵で立派な方なんだろうと。女性としても看護師長としても素敵な方でした。お心遣いに感動し感謝の心でいっぱいになりました。
私は県立Ａ医療センターで、こんな素敵な看護師長さんはじめとても信頼し安心できる看護師さんたちと出会い、一番苦しかった時期も乗り越えることができました。
もちろん主治医の先生 研修医の先生 リハビリの先生、スタッフ皆様、皆さんに良くして頂きました。
結局医療の技術も確かに大切ですが、それ以上に大切なのは心だと思います。心を癒し、人としての尊厳を大切にしてくれる、そして何より安心して任せられる信頼関係が大切と思います。
苦しかったはずの思い出が、素敵な方々の思いやりや優しさのおかげで、今となってはいい思い出になっています。