樹々の見る夢

夏 雪




 胸奥に

 雨あがりの若葉が

 芽吹いていくような

 この痛みの先には


 伸びていくことを
 止める事ができない

 この想いの先には




 消えてしまった虹が
 見渡した枝の先にいつかまた

 架かかるのだと




 儚い七色だけを 信じていた時には

 描けなかった風景が
 まぶたの裏に 広がっていくから



 まだ 見てもいない夢の種を

 雨あがりの若葉の

 春の風に揺らされる夜に



 瞳を閉じる前の

 地平線だけの大地に埋める




 根を伸ばす 信じる心の熱だけが

 まだ見ぬ若葉を 芽吹かせ伸ばしていく