雨音の十六夜





満月は

欠けてゆくんだ


ひび割れていく音が

雪解けの水面を走るみたいに


そんな凍てつく氷を砕いて

舌の上で溶かしていくなら

孤独を混ぜたい甘さは

シロップのような愛情がいい


冷たい言葉も

耳元で囁くなら

優しくなれるから


裏腹にぶつけあった感情も

傷付け合いたくなど無い

触れ合う肌と 手のひらで

あたためて 流したい


雨雲で見えない
十六夜を想い 願う

新月を包む 闇になれたなら