私の若い頃の話です。職場でおばさんの従業員が荷物を移動させるのに、重いからでしょうけど、荷物を持たずに屈んで押していました。そのおばさん従業員を見たおっさん従業員が、すかさずおばさん従業員のお尻に自分の下半身をくっつけるようなポーズをとって、一緒に

移動していました。それはまるで、四つん這いになった女性のお尻に、男性が背後から下半身を突き立てるような形でした。

ま、セクハラなんですけどね。その時代、セクハラという言葉が出て来て、まだ歴史が浅い時代で、今ほどセクハラには厳しくなかった。だから、こんな感じのセクハラは日常茶飯事でした。

女の子が作業している背後から近づいて、体を触ることを挨拶ぐらいにしか思っていない管理職のおっさんとか、ヒラの従業員のおっさんでも、女の子に話しかけるとき、背後から声をかけるときは、必ず肩を触ったり。でも、男に声をかけるとき、肩を触ったりしてるのは見たことないんです。

社員食堂で、事務の女性に声をかけながら、背中を撫で回しているおっさんもいました。その女性に、私は好意を持っていたので、むかつきました。

職場に出入りしている、たぶん40代ぐらいの保険のおばさんの肩に手を回すおっさんとかもいましたね。

もっと悪質なのは、健康診断で、広い休憩室みたいなとこに仕切りをして、女性社員が心電図の検査をしているとき、勘違いしたふりして強引に入って行ったおっさんがいました。看護婦(当時は看護師ではない)さんが、何度も「違います」と言うんだけど、わざと勘違いしたふりしているおっさんが、「違います」と言われ止まるわけがない。女性ひとりでは、男を止められるわけもなく、おっさんは平然と入って行きました。

願わくば、看護婦さんが制止する声を聞いた係の人が、心電図の検査をして服を脱いでいる女性(聞いたところでは、ブラジャーも外すそうです)に、服を着せるなどしてくれていたらいいのですが。その後、女性の悲鳴などはなかったので、裸を見られることはなかったと信じたいです。

こんな話は、昔はざらです。友達の女の子に聞いた話では、その子の友達のバスガイドをやってる女性は、男性社員(運転手?)から胸をムギュッとつかまれるのは、しょっちゅうあったそうです。それに対して、女性がセクハラですと抗議したり、会社で問題視されるのは、もっと後になってからで、セクハラという言葉が出て来た時代は、まだまだセクハラが普通でした。

女性にとっては、受難の時代でしたね。むろん、今でも我慢している女性は多いのかもしれません。