「顧客インサイトについて考えることの大切さ」
昨日、「マーケティングとイノベーションの本質」をテーマにした勉強会で講師を担当しました。
その中で、「顧客インサイト(顧客の隠れた心理)」の例話として挙げた内容なのですが、若い人たちがiPhoneを選ぶ理由について、「選んでいる本人に聞いても、なぜiPhoneを選ぶのかを上手く答えられないが、迷わずiPhoneを選ぶ」こと、そして、その原因の一例として、「iPhoneを持っている自分の方がイケているという印象を心の無意識の領域に持っている」という可能性をお話しました。
しかし、「イケている」というだけでは説明不足だったと思いますので、ここでは、もう少し掘り下げて解説したいと思います。
実は、私はアンドロイドを使っていますが、周りのiPhoneを使っている人に聞いてみても、要するに、ほとんど比較検討することなく迷わずiPhoneを選んでいるようです。
「私は比較検討した上で、iPhoneを選んでいる」という人も勿論いらっしゃると思いますが、私だけではなく、複数の人が同じように感じているようですので、大勢としては間違っていないという前提で話を進めてまいります。
昨日、お伝えしたかったのは、顧客がある商品を選ぶとき、必ずしも機能や利便性ではなく、デザインでもなく、勿論、偶然ではなく、マーケティングの結果起こっているということです。
誤解を避けるために補足しますが、ここでお話しているマーケティングは、宣伝手法や市場調査のことではなく、顧客価値を発見し、創造し、伝え、提供するまでの仕組み全てのことを意味しています。
更に、補足ですが、2022年のiPhoneとアンドロイドスマホのシェア率は、iPhoneが7割程度となっていますが、過去を見るとアンドロイドのスマホの方が上回っている時期もあり、拮抗しながら年々変化しています。その様な中で、私の知る限り、若い人ほどiPhoneを選んでいる率が高いという状況でのお話です。
その上で、今日は以下のお話を付け加えたいと思います。
私の妻や息子や娘がiPhoneを使っていますので、一時期、なぜiPhoneを選ぶのかを聞いて見たり観察して見たりしたことがあります。
それで、感じたことです。
アンドロイドは、スマートフォンを通話やインターネット又はゲームを利用するための「ツール」として作られているが、iPhoneは人とつながることができたて日常生活のレベルを向上させる「おとも又はパートナー」として作られているのかも知れない、ということです。
私は、使える「ツール」を求めているのでアンドロイドを選んでいます。間違いなく、次もアンドロイドを選ぶと思います。
このことは、私の実感ですので客観的証明は無理ですが、私はアンドロイドのスマートフォンを持っていて、とても便利な「ツール」だと感じています。
その事から推察すると、これはあくまでも仮説ですが、スマートフォンを便利なツールとして主に仕事で使いたい人の中には比較的アンドロイドを選ぶ人が多く、友達や仲間とつながることができて日常生活のレベルを向上させてくれて、しかも、それを持っている自分を「イケている」と感じられる「おとも又はパートナー」が欲しい若い人はiPhineを選択するのかも知れません。
人はなぜiPhoneを選ぶのかについて、もう少し考えてみたいと思います。
一つ一つの機能やデザインを別々に比較分析しても、iPhoneの方が必ずしも優れているということはなさそうですし、パソコンや他の機器との連携を含めて考えても、実際の使用方法の中では、とりわけiPhoneが優れているようには思えません。
iPhoneの方が宣伝が上手なのでしょうか。
これには、様々な意見が出てきそうですが、やはり、必ずしもiPhoneのコマーシャル手法の方がアンドロイドの機種のそれより勝っているとは感じません。
もし、サブリミナル効果のような、人の無意識の領域にアクセスするコマーシャル手法を用いているなどの情報があれば、教えてください(笑)
iPhoneの方がアフターサービスが優れているのでしょうか。
私が周りの人を見ている限り、アフターサービスはアンドロイドの方が良いと自信を持って答えられます。
感じ方には個人差があると思いますが、私の経験上そうです。
娘のiPhoneが故障したときの様子と私のスマホが故障したときの状況を見ていると、経験的にアンドロイドと比べて明らかにiPhoneの方が大変そうに見えました。
その上、充電用のケーブルはiPhone用のものの方が壊れやすいような気がします。
私の充電ケーブルはほとんど壊れませんが、娘のiPhoneの充電ケーブルはしょっちゅう壊れて、その度に新しいものを買いに行っていました。しかも、そのコードが結構、高額なのです。
アンドロイドの方が充電コードの便利さは上であることに同意してくださる方は多いのではないかと思います。
それでも、アップル社は、顧客価値を創造する過程の中で間違いなく、顧客の深層心理をつかむ要素を創り出していて、そのことが、「iPhoneを持っている私の方がイケている」「私が選ぶべきはiPhoneである」と多くの顧客にしっかりと伝えられているようです。
「いや、アンドロイドもよき生活のおともとして作っていますよ」という反対意見もどこかから聞こえてきそうですが、iPhoneは(あるいはアップル社は)、顧客価値を実際に顧客が実感できるよう届け続けることに成功していると言えるのではないでしょうか。
今日、私が言いたいことは、iPhoneがなぜ選ばれるのかを説明したいのではなく、
どちらが良いとか悪いとかそういうことを言いたいのでもありません。
私が言いたいことは、顧客の隠れた心理である顧客インサイトを徹底的に深く考えて洞察することがマーケティングでは大切だということです。
私が書いたことは、様々な仮説の中のひとつに過ぎません。
この記事を読んでくださった皆様の方がより答えに近づける洞察力を持っておられると拝察いたします。
多様な背景をお持ちの方が複数集まって、それぞれの考え方を聞いて、視野を広げたり深めたりすることに意義があると思っています。
そして、一流のマーケター及びイノベーターについて調べると分かるのですが、アイデアを忌憚なく話し合う人脈を持っていることが大切であると同時に、最後は一人で時間をかけて考え抜くことが大切であると思います。
いくつかのブログで、「人はなぜiPhoneを選ぶのか」をテーマに考察しているブログがありますので、検索して見て、参考にしていただくと面白いです。
今日の記事の趣旨は、マーケティングにおいて顧客インサイトを考えることが大切であるということです。
アップルが優れているということを言いたいわけではなく、顧客の購買行動と顧客インサイトとの関係を解き明かしたいと思って考察の対象として挙げさせていただいただけですので、誤解なきようにお願いいたします。
マーケティングというものは、簡単に答えがでない奥深いものですが、誰でも徹底的に考え抜いた人が、マーケットを動かすことができるようになっていることは間違いありません。
以上のお話は、アップルのマーケティングの取り組みが優れていることを前提としたお話ですが、
アップルのマーケティングについて知るために、参考のため、
以下に、スティーブ・ジョブズがマーケティングについて語った言葉を紹介します。
同氏がアップルに復帰した際に社員に向かって話した内容です。
「私たちは人々をサポートするPCを作る会社ではありません。そんな仕事が得意だけれどもです。
私たちは誰よりそんな仕事が得意ですが、アップルにはそんな仕事をする以上の何かがあります。
アップルの中心、その価値は、信じることです。情熱を持った人たちが、
より良い世界のために世を変えることができるということを。
それが私が信じることです。
そして、私たちはそんな人と一緒に仕事をしてきました。
私たちは信じます。この世界では、人々はより良く世界を変えることができ、
世界を変えられると思うそんな狂った人だけが、現実に世の中を変える人です。
なので、私たちがしようとしている事は、
数年間行う最初のブランドマーケティングキャンペーンは、その中心価値に戻ることです。
たくさんのことが変わりました。
10年前に比べて市場が大きく変わりました。
市場におけるアップルとその地位は完全に変わりました。
私たちはそれを理解します。
しかし、アップルの核心価値は変わるべきではありません。
アップルが信じていたそこの核心は、今日、アップルが本当に向かうことと同じです。
なので、私たちは顧客に知らせる方法を見つけたいです。
私たちが持っているのは何か感動したことです。
世の中を変えてきた人々に対する我々の尊敬。
実在する人もいれば、存在しない人もいます。
このキャンペーンのテーマは「違う考え方」です。
違う風に考える人への尊敬であり、この世を導いていく人に対する尊敬です。
それが私たちが存在する理由であり、それがアップルの魂です。
私たちが誰なのか、私たちがなぜ存在するのかを教えてくれます。
気に入ったかどうかわからないけど・・・」(スティーブ・ジョブズ)
考えさせられますね。
私はアンドロイドを選択し続けると思います(笑)
