「三方よし」の本当の意味に迫る①

 

「三方よし」は近江商人の心得と言われていますが、誤解されやすいと思うことを二点挙げてみます。

 

1つ目は、近江商人の心得に「三方よし」という表現があったわけではないという点です。

 

「三方よし」の表現を世の中に広めたのは、公益財団法人モラロジー道徳教育財団の創業者である廣池千九郎氏と言われています。同氏が近江商人の伝統精神をそのように解釈したということです。

 

近江商人の心得の核心的なところに「三方よし」があることは否定しませんが、

実際の歴史の中で、リアルな近江商人のどこが優れていたのかという視点で調べていくと、「三方よし」だけで表現するには無理があることが分かります。

 

詳細は省きますが、近江商人の特徴は、「地域別のニーズを読み、商圏や顧客セグメント及び拠点を定める眼力と才覚(又は情報収集力)」「無駄を省き有効な投資を行う力」「先進的な財務能力」をベースとした特筆すべき行動力があり、最も大きな特徴は「広域活動」を行うことです。

 

「広域活動」については、各地の他の商人と比較すると分かりますが、段違いに遠距離に商圏を持っており、明治以降はいち早く海外に進出しています。

 

そして、激動の中、様々な危機を乗り越えていくのですが、その際に、「相手が富んでこそ、自らも長期的に富む(だから、目先のことにこだわらないで自他共に成り立つよう心がけること)」「普段から公益に貢献して人々に好感を持っていただいていればこそ、困難なときに助けてもらえる」という勘所を得ていたようです。

 

2つ目は、「三方よし」を「利他主義」と同一視して、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の中の一番目に書いてある「売り手よし」の印象を弱く捉えている場合です。

 

半年前くらいに、ある経営者さんと話をしたとき、三方よしが話題になったのですが、その人は「三方よしが良いことは分かるのですが、相手や世の中の人に尽くしているだけでは、自社が儲からならないのですよ」という意味のことを言っていました。

 

お話をしていて、「三方よし」を「利他主義」と混同して理解されているように思いました。

 

もし私がその方の真意を誤解していたら大変失礼になるのですが、分かりやすいのではないかと思って例に挙げました。

 

 

さて、私は、組織が「ビジョン経営」を実践し、時代に応じた「創造性」を発揮して工夫し、各業務に励むことで、その結果として、「売り手よし、買い手よし、世間よし」になったときに、その事業は継続的に発展していくものではないかと思います。