このブログのタイトルでについて、最初にお断りしておきます。
最初、タイトルを「ブランディングにおける『言葉』の大切さ」としたかったのですが、日本社会にはまだまだブランディングの概念に対する理解が浸透していませんので、今回は誤解を避けるため表題のタイトルにしました。
私は今、「コンセプトの教科書」(細田高広【著】)という本を読んでいます。
細田高広氏は世界的に有名なクリエーターであり、企業のブランディングや販促の企画に携わって、ヒット商品をつぎつぎと世の中に送り出しています。
「コンセプトの教科書」は、読んだのは全6章のうち4章までですから、書評や内容の紹介は、最後まで読んでからにしますが、ここまで読んだ時点でこの本の内容は大変役立つと感じます。
特に、読み始めてすぐに自分自身が考え方を改めさせられたのは、「言葉」というものに対する認識でした。
これまで、「言葉」は、私にとって中身のない人が言葉巧みに中身があるように見せかけたり、大したことないものを凄いもののように表現したり、というふうに、何かを針小棒大に良く見せるための小手先の手段のような負のイメージがありました。
あくまでも無意識でのことですが、言葉を工夫することは上辺を飾るだけの小賢しいこと、という考えが働いていたようです。
ですから、言葉の工夫にエネルギーを費やすことを軽蔑していたのかも知れません。
しかし、細田氏は、「全てのものは言葉で出来ている」と言います。
また、なかなか売れなかった商品が、キャッチコピーの単語をひとつ変えただけで大ヒット商品になることを何度も体験したといいます。
更に、細田氏の本を読み進めて行くうちに、言葉というものは上辺のことではなく、
人と人、企業と人がつながるために商品自体よりもっと本質であるのではないかと感じるようになりました。
細田氏は「言葉が先にあって商品・サービスが出来る」と言います。
これは私にとって大きな気づきでした。
また、考えて見れば想像以上に、人は全てのものを言葉で捉えているのです。
全てを言葉で捉えて把握・理解しようとしていると言った方が正確かも知れません。
ですから、企業においても商品においても、それを世の中に知ってもらうための言葉は本当に大切に多くのエネルギーを費やして考えなければならないことなのです。
気付けば当たり前の事かも知れませんが、その事を意識することで私の集客の在り方が変わりました。
実は最近、私が企画したイベントの集客が上手くいかず行き詰まっていたことがありました。
その様な時にふと素朴な気持ちでYouTubeで「イベント 集客 方法」と検索したら、イベントの集客について語られている動画が表示されました。
その動画で、「集客は知り合いに一人一人お願いするのが一番と言う人もいるが、お願いしなければならないようなイベントであることが問題であることを認めて、「参加したい」と思えるようなイベントになることにこそ力を注ぎなさい。一番良くないのは、集客に時間が取られてイベントの内容の準備が疎かになってしまうことです」
と話しているのを聞いて、私は「なるほど」と思いました。
いや、これも当たり前と言えば当たり前です。
しかし、丁度、「コンセプトの教科書」を読んでいた私には、すぐにアイデアが浮かびました。
そして、すぐにイベント集客用のWebサイトの文章を変えました。
その文章は「コンセプトの教科書」から学んだ内容を反映させたものでした。
イベントの内容は変わらないのですが、PRの言葉だけを変えました。
もう少し具体的に言うと、見込み客から見てイベントの魅力が分かりやすく伝わるように角度を変えて表現しました。
その角度とは、他の上手くいっているイベントの集客の真似をするのをやめて、
自分たちにしかできない独自性のある部分を大きく協調し、それ以外の部分を大幅に削除しました。
すると、その翌日から、申し込みが急激に増えました。
結果、母数は控えますが、実際にそれまでの新規申込者の平均の3倍のお申込みがありました。
私の肌感覚では、偶然ではなく、言葉を変えたらすぐに反応が変わったという感触でした。
私のこれまでの言葉というものに対するイメージが大きく変わる体験でした。
この度は、宣伝文句のことだけでなく、経営のあらゆる場面で、更には人生の様々な場面で大切な「言葉」について、もっともっと深く学ぶ必要があると気付かされませした。
よく、本のタイトルやネット広告で、「〇〇〇を変えれば売上が〇倍になる!」を見かけます。
これまでの私は「このようなタイトルは、小賢しいい小手先のキャッチコピー術を使って人の心を動かそうとしているところからして、中身がない本であることを自分から露呈しているな」と穿った捉え方をしていました。
本当に小賢しい小手先のキャッチコピーというものも実際にはあるのだろうと思います。
しかし、その視点だけに偏っていたら、本質を見失い兼ねないと思うようになりました。
さて、「コンセプトの教科書」は、よく使われる理念系の言葉である「ビジョン」「ミッション」「コンセプト」の3つをそれぞれ、どのようにつくっていくと良いかについて分かりやすく教えてくれます。