オ~イパンダのブログ

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日頃、感じたことや知ったことを気ままに綴ります。

小唄の先生から演奏会の案内が届きましたので、小唄演奏会を聴きに行ってきました。今年に入って一度も聴いていないことから、ちょうど聴きたいなと思っていたところでした。



火星會 新作小唄演奏会 プログラム
「火星會・新作小唄演奏会」プログラム

 


会場は茅場町にある東京証券会館にあるホールです。客数は三百数十席と小唄にはもってこいの空間です。

 

 

小唄演奏会:火星會新作演奏会会場のタペストリー
東京証券会館ホール

 


午後1時に開演し、各派の花形が共演する第一部の始まりです。今回ご招待くださった蓼史美先生もトップを切って糸(三味線)の演奏で出演です。もうそれなりの年齢になられているはずですが、いつもの落ち着いた見事な演奏はさすがです。



小唄演奏会、三味線と歌の様子

 


明確な違いは判りませんが、各派によって唄い方、糸の演奏法に微妙な違いがあるようです。これがまた小唄の面白いところなのでしょうね。

 


小唄演奏会、三味線演奏と唄
糸の演奏は蓼史美先生

 


今回の小唄演奏会は「火星會・新作小唄演奏会」とあるように「火星会」というグループの新作演奏会です。火星會というのはプログラムにはこうあります。

 

 火星会とは昭和29年(1954年)12月に新作小唄作詞の

 会として山岡荘八、市川三升、高橋鞠太郎、英十三、

 伊藤深水、山上路夫、門田ゆたか、宮田重雄(洋画家)

 など他23名の方により「新作小唄閑吟(かんぎん)会」

 として発足致しましたが、この年が宇宙から地球を見た

 時、地球に一番近くて大きな星が「火星」であること

 から「閑吟会」を「火星会」と改名し現在に至っており

 ます。

 

 

火星会新作小唄演奏会案内の挨拶文
演奏プログラムのご挨拶より



ここでいう山岡荘八とは歴史小説「徳川家康」の作家であり、市川三升は歌舞伎役者、 高橋鞠太郎は作詞家など錚々たるメンバーで構成されています。当時の誰もが認める文人・教養人たちが集まって立ち上げたのが火星会なのです。いや~、歴史的な人物の登場に思わず、襟を正してしまいます。

 

 

小唄演奏会:三味線奏者と歌い手



16組の演奏が終わり、第二部に入る前に火星会の会員によるご挨拶がありました。舞台に立つ顔ぶれはそうそうたる面々です。

 

 

小唄演奏会出演者たちの集合写真
火星会の会員の方々

 


一部、若い方もいますが、ほぼ年季の入った方々ばかりです。でも、別の演奏会などで見たこともある方も何人かいて、親しみのようなものを感じます。

 

 

小唄演奏会で三味線を弾く女性たち

 

 

第二部は会員による新作の発表です。古典を題材にしたものもあれば、酒と女、色恋など小唄ならではの作品が並びます。ただ時代の流れなのでしょう。「コート」や「ポケット」などカタカナを使った唄も中にはあります。またペットをモチーフにした小唄もあります。小唄も新陳代謝が進んいるのだなと感じます。

 


小唄演奏会:歌と三味線

 


新作発表の後は第三部の小唄華舞台(はなぶたい)です。この中盤には今日のお目当ての蓼実生さんが唄います。実はこの方は我が家の近所にお住まいで、小唄も名取ですが長唄の方が芸歴は長く、小さい頃からやられていたようです。

 

 

小唄演奏会で三味線を弾く女性
蓼実生さんと蓼史美先生

 


その影響もあってか、小唄でありながら力強さもあり迫力があります。そして語りのようなその唄い方は心に響き、印象に残ります。

 


小唄演奏会で唄う蓼実生さん
蓼実生さん

 


これまで三越劇場や国立劇場などでも聴いたことがありますが、なんともいえないその魅力に、いつも感銘を受けています。この日もすばらしい唄声に、聴きに来て良かったと感じた次第です。


時計を見ると開演から3時間半が経過しています。あと15組ほどが残っていますが、お腹もすき疲れてきたことから会場を後にすることにしました。


 

小唄の始まりは江戸後期の端唄から派生し、幕末に端唄を清元風に作り替えたことが始まりとされています。その後、明治・大正期に「江戸小唄」という名称が定着し、三味線を伴う粋な小歌曲として大流行します。
 

なお、端唄は三味線伴奏による短い歌曲です。いわゆる「江戸時代の流行歌」であり、季節の風物や男女の恋模様を、庶民が親しみやすい小粋で短いメロディに乗せて唄うのが特徴です。



小唄演奏会:三味線弾き3名と演者

 


いま「小唄」と聞くと敷居が高く、何となく近寄りがたい気もしますが、実は今の私たちの感覚にかなり近いところがあります。小唄は身近な言葉で、短く想いを表現しているからです。恋愛や季節、酒席の気分など、日常の機微を粋にうたうジャンルとして発展した背景もあります。


狭い座敷でお客と同じ目線と近距離で交わされる「会話のような音楽」だったこともあり、さりげない色気やユーモアが特徴といえます。小唄は一曲がとても短く、言葉も凝縮されていることから、もしかしたら俳句や短歌などに似た表現方法なのかもしれませんね。

 


小唄演奏会:三味線奏者と唄い手による舞台

 


とはいえ、洒落た言葉が多いだけに少し分かりにくいところもあります。それでも唄と糸の響きを感じるだけで意図するものは伝わってくる気もします。


演奏プログラムの最後には神田明神にある「小唄作詞塚」のことが紹介されています。そこには50~60名の名前が刻まれていますが、本日出演されている方のうち4名はすでに刻まれており、最近になって新規に3名の方が追刻されたそうです。

 

 

神田明神小唄作詞塚
小唄作詞塚

 


神田明神。御茶ノ水駅から直ぐですから機会があったらこの塚を見に寄ってみたいと思っています。