森 鴎外「うたかたの記」現代語意訳版 023
「このようにして漁師の娘となりました。しかし、私には舟の櫂を取るほどの体力はなかったので、レオニに住む裕福なイギリス人に雇われて家政婦をしていました。カトリックだった養父母は、イギリス人に使われることを嫌いましたが、私が読み書きができるようになったのは、そこにいた女性教師のお陰です。四十過ぎの未婚の女性で、高慢なイギリス人の娘より、私を愛してくれて、三年ほどで女性教師の書物を全て読んでしまいました。でも読み間違えも多かったと思います。また、書籍の種類もまちまちでした。クニッゲの交際法もあれば、フンボルトの長生術もありました。ゲーテやシラーの詩を唱えたり、ケーニッヒの文学史を読んだり、ルーブルやドレスデンの美術館の写真をひろげて見たり、テーヌの美術論の翻訳書をあさったりしました。」
- 文学部唯野教授/筒井 康隆
- ¥840
- Amazon.co.jp

- 舞姫,うたかたの記―他3篇 岩波文庫 緑 6-0/森 鴎外
- ¥483
- Amazon.co.jp