■リモート(オンライン)で契約とは?

【「IT重説」って何?】
「重要事項説明(重説)」を、対面ではなくIT(パソコン・スマホ/テレビ会議)を使って実施する仕組みを指します。賃貸借契約では、従来は対面で紙の説明・交付が義務でしたが、2017年10月から賃貸でもIT重説対応が始まっています。 

説明のポイントとして以下があります:
・賃貸物件契約前に、 賃貸人(大家・管理会社)・借りる人のどちらも、説明を受け・理解できるようにすること。 
・IT重説を行うには、 双方向で音声・映像のやりとりが可能な環境であること。 

また、説明をする担当者は有資格者(宅地建物取引士)であり、その証(取引士証)を画面上で提示して借り手側が確認できることが定められています。 

【印鑑はいつ押すの?】
印鑑(捺印・署名)は契約書締結時の「合意の証」です。賃貸借契約書には、契約者が署名・捺印して日付を記入するのが一般的です。 
※電子契約方式であれば「印鑑が不要」という場合もありえます。 

ただし、ここで整理すべき重要な2点:
・IT重説そのもの=説明をオンラインで受ける工程であり、「捺印・交付・契約書への署名捺印」も別途手続きとしてあります。 
・最近の法改正で、 契約書・重要事項説明書の電子交付や電子署名による契約も可能となっており、必ずしも“物理的な印鑑捺印を紙で”という形ではないケースもあります。 

つまり、実務上は「説明をオンラインで受けた後、書類を確認し、契約書に署名・(場合によっては)捺印または電子署名を行う」という流れになります。
借主側が捺印するタイミング=契約書内容に納得して「契約します」と合意する直前・直後が一般的です。 

【パソコンがなくてもできるの?必要な環境は?】
<必須な環境>

・音声・映像の双方向通信が可能な端末(パソコン/タブレット/スマホ)。画面サイズが小さすぎると資料が見づらいという指摘もあります。 
・安定したインターネット回線。通信が不安定だと説明中に支障が出るため、事前に業者が通信環境を確認するケースもあります。 
・事前に説明書(重要事項説明書)及び添付書類が送付/共有されており、説明開始前に借り手側の手元にあること。 

<スマホだけでも?>
スマホでも可能とする業者・ケースがあります。実際、IT重説が「図面や説明書きをスマホでも判別できる画面であればOK」という記載があります。 
ただし、画面が小さいと資料の文字・図面が読みづらい・宅建士証が視認しづらいという懸念もあり、「できればパソコン使用を推奨」というマニュアルも存在します。 

【「自分の画像を送りたくない/電話ではだめなの?」という疑問】
・自分の画像:IT重説では、借り手側も映像で説明を受けるケースが一般的ですが、「必ず顔を映さなければいけない」明確な法規定までは見当たりません。ただし「画面越しで双方向通話・資料共有が可能」で、かつ宅建士証が視認できることが条件です。 
→ 顔を出さないと手続きが進まないという業者の運用もあるので、その場合は業者に相談が必要。


・電話のみ:音声だけ、映像なし、という形では「双方向で映像・資料を確認できる環境」という要件を満たさない可能性が高いです。マニュアルには「図面等の書類及び説明の内容を十分に視認でき、かつ双方が音声を聞き取れるとともに、双方向のIT環境であること」が記載されています。 
→ したがって「音声だけ・カメラなし」で実施するのは原則NGとなることが想定されます。

結論として、自分の映像を出すのに抵抗がある場合は、契約を進める不動産会社・管理会社に「顔を映さずに可能か」「スマホ/パソコン画面のみ共有で良いか」など確認することをおすすめします。
 

■youtube動画の台本

会話台本(セミナー風)

賃貸契約に関する初心者向けセミナー。

【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。

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<第3部「スマホだけでもOK?顔出しは必須?電話じゃダメ?>

やまだ

先生、もうひとつ気になるんですけど……
私、パソコン持ってないんです。スマホだけでもできるんですか?

 

講師

できますよ。最近はスマホ対応の不動産会社が増えています。
ただし、安定した通信と、画面で書類が読めるサイズが必要です。
通信が不安定だと映像や音声が途切れてしまうので、Wi-Fi環境を推奨しています。

 

やまだ

なるほど。でも……自分の顔を映すの、ちょっと抵抗があるんですよね。
顔出ししないとダメですか?

 

講師

原則として、宅建士側の本人確認のために映像を使いますが、あなたの顔をずっと映す義務まではありません。が、契約者の本人確認もありますので、全て顔出しをしないということは難しいです。
相手が「双方向で確認できる環境」であることを求めているので、不動産会社によっては、本人確認が終われば顔を映さなくても対応してくれる場合もあります。

 

やまだ

ええ? 電話だけで聞くのはダメなんですか?

 

講師

残念ながら、電話だけでは「映像で資料や宅建士証を確認する」という要件を満たせません。
国交省のガイドラインでは、「映像と音声を用いた双方向通信で行うこと」と明記されています。
だから、電話だけでは正式なIT重説とは認められないんです。

 

やまだ

なるほど……。スマホでビデオ通話ができて、資料が見えるなら問題ないってことですね!

 

講師

そう。要は「理解できる環境」があればOK。
時代に合わせて、部屋探しもどんどんスマートになってるんですよ。

 

以上