■賃貸物件の「残置物」とは?
「残置物(ざんちぶつ)」とは一般に、前の入居者が退去する際に部屋に置き去りにした家具・家電・荷物などを指します。
以下に、残置物の意味・法的扱い・注意点を整理して説明します。
【残置物と「設備」の違い】
設備:貸主(大家・管理会社)が物件に備え付けたものとして、入居者に提供しているもの(例:最初から設置されている照明、給湯器、エアコンなど)。設備は貸主責任で維持・修繕されることが多いです。
残置物:前の入居者が自分のために設置したが、撤去せず残していったもの。たとえば、追加で取り付けた照明・カーテン・家具・家電などが該当します。
※もし契約書や重要事項説明で「これは残置物であり、貸主は故障・修理の責任を負わない」という旨が明記されていなければ、入居者は設備と誤認し、壊れたときに貸主に修理を求める可能性もあります。
【所有権・処分のルール】
残置物の所有権は、原則として前入居者にあります。
つまり、次の入居者や貸主が無断で捨てたり撤去したりすると、所有権侵害の責任を問われる可能性があります。
ただし、次のようなケースでは貸主が処分できる可能性もあります:
・残置物を残すことについて、前入居者が貸主に承諾しており、契約書等で譲渡を認めた場合 → 所有権が貸主に移る扱いになる。
・残置物が明らかに価値がない・ゴミ同然と判断されるもの → 無断で廃棄しても問題にならない可能性がある(ただし慎重を要する)
【あなたが入居する立場で注意すべき点】
あなたがその物件に入る側なら、次の点を確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
・契約書・重要事項説明に「残置物」の記載があるか
➡照明が残置物である旨、故障時の修理・交換責任は負わない旨などが明記されているか。
・明示的な承諾や譲渡の意思表示があるか
➡貸主が以前の入居者から譲渡を受けているか、「残置物をそのまま使ってよい」との合意があるか。
・状態をチェックする
➡照明が点灯するか、傷みがないかを確認し、不備があれば入居前に書面で記録しておく。
・撤去や修理はあなたの責任になる可能性
➡残置物扱いだと、故障したら自分で修理・交換しなければならない契約となる可能性があります。
・勝手に撤去・処分しないこと
➡入居後に「邪魔だから」と勝手に撤去すると、貸主から削除・原状回復義務を問われたり損害賠償を請求されたりする可能性があります。
■youtube動画の台本
会話台本(セミナー風)
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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<後編:注意点・対応方法>
やまだ
でも先生、もしその残置物が壊れちゃったらどうなるんですか?
講師
いいところに気づきましたね。
残置物は大家さんが保証してくれるわけじゃないので、壊れたら入居者が自分で修理や買い替えをする必要があります。
やまだ
そっかぁ……。
じゃあ入居前にちゃんと確認しないとですね。
講師
そうなんです。
入居時に点検して、点かなかったり破損していたら写真を撮って記録するのがおすすめです。あと、契約書や重要事項説明に“残置物扱い”と明記されているかどうかも必ずチェックしましょう。
やまだ
なるほど。
契約書に書いてあったら、“修理しませんよ”っていう意味なんですね。
講師
その通り。
もし“勝手に撤去してもいいんですか?”と思ったら要注意。原則として残置物の所有権は前の入居者にあるので、無断で捨てるとトラブルになることもあるんです。ただ、多くの場合は大家さんが“処分OK”と整理してくれているので、気になるなら事前に確認しましょう。
やまだ
わぁ……知らなかった。
ラッキーと思って使うのはいいけど、責任は自分にあるんですね。
講師
そういうことです。まとめると――
・契約書で“残置物”と記載があるか確認する。
・入居前に動作や状態をチェックする。
・故障したら自己負担で修理・交換する心づもりをする。
この3点を押さえておけば安心です。
やまだ
はい!
これで“残置物”って言われても怖くないです。ありがとうございます!
講師
どういたしまして。契約の小さな一文が、住みやすさに直結しますからね。
以上