■賃貸物件で「石油ストーブ/灯油ストーブ」が禁止されている部屋がある理由

【なぜ禁止されるのか(主な理由)】
・火災リスクが高い
 灯油ストーブは燃料(灯油)を使うため、給油時のこぼれ、倒したときの引火、近くの可燃物の発火など事故が起きやすいです。特に集合住宅などでは、火が隣の部屋に延焼する可能性があるため、大家さん・管理会社としてはリスクが高いと判断することが多いです。 

・一酸化炭素中毒の危険性
 石油ストーブは燃焼が不完全になると一酸化炭素(CO)が発生します。室内密閉度が高い現代の賃貸住宅では自然換気が十分でないこともあり、長時間使用するとCO中毒のリスクが増します。症状として頭痛・めまい・吐き気など、最悪の場合死に至ることも。 

・結露・湿気・建物劣化
 燃焼によって水蒸気も発生するため、部屋の湿度が上がりやすく、結露が発生しやすくなります。結露が窓まわりや壁に発生すると、カビ・壁紙の劣化・建材の傷みなどが起こり、建物の維持管理・修繕コストが高くなります。大家や不動産管理者にとっては避けたい問題です。 

・保険・法的責任問題
 火災が発生した時、契約違反となって入居者に責任が及ぶ可能性があります。大家・管理会社はそうしたリスクも回避したいため、予め禁止しておくことが多い。契約書に禁止事項として明記され、無断使用が発覚すると契約解除・賠償等の対象になるケースがあります。 

・宅建協会・業界の定型書式
 特に東京・神奈川などの地域では、「灯油ストーブ使用禁止」が賃貸契約書の定型約款として含まれていることがある、という話も見られます。いわば、「禁止」が一般的なルールとして採用されている物件が多いということです。 

 

■まとめ

使っていいかどうかは、契約書・重要事項説明書に石油ストーブ等の使用について何が書かれているかで決まります。
禁止と明記されていれば無断使用は契約違反となります。禁止が書かれていなければ、大家や管理会社に事前に相談して許可を得るのが安全です。許可をもらう場合は書面で残しておくとトラブル防止になります。 
 

■youtube動画の台本

会話台本(セミナー風)

賃貸契約に関する初心者向けセミナー。

【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。

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<前編>

やまだ

あの…先生。

実家では冬になると石油ストーブをよく使ってたんですけど、賃貸マンションでも同じように使えるんですか?

 

講師

いい質問ですね。

実はすべての賃貸物件で禁止されているわけではありません。物件によっては使用が許可されている場合もあるんですよ。

 

やまだ

えっ、そうなんですか?

都会のマンションだと全部ダメだと思ってました。

 

講師

確かに都心の鉄筋マンションでは禁止が多いですが、地方の木造アパートや一戸建ての賃貸ではストーブ使用OKなケースもあります。特に雪国など寒冷地では、灯油ストーブが生活必需品という地域もありますからね。

 

やまだ

なるほど!

やっぱり暖まり方が違うんですよね?

 

講師

その通り。

石油ストーブは電気ヒーターよりも熱量が大きいので、広い部屋でも素早く暖まります。それに灯油代は電気代より安くなる場合もあるので、光熱費を抑えたい人には魅力的です。

 

やまだ

たしかに実家でも暖まるのが早くて、こたつと組み合わせるとすごく快適でした!

 

講師

そうでしょう。

さらに停電時でも使える点もメリットです。電気に頼らないので災害時の備えとしても頼りになりますよ。

 

やまだ

いいことばかりに思えるんですけど、それならどうして禁止の物件が多いんでしょう?

 

講師

それは後編でしっかり解説しましょう。
ただ一つ大切なのは、禁止かどうかは契約書や重要事項説明書に書かれているということ。書かれていなければ使える可能性もありますが、必ず管理会社や大家さんに確認してから使うようにしましょう。

 

やまだ

わかりました!

物件によって違うんですね。安心しました。

 

以上