■賃貸物件で火事を起こしてしまったとき」の対応について

①まずは安全確認と通報を最優先
火災発生時は、まず自身や同居者、周囲の人のけがの有無を確認し、必要があれば医療機関へ。その後、火が完全に消えているか、煙の残りや再燃の可能性がないか慎重に判断し、ブレーカーを落とす、ガスの元栓を閉めるなど 二次災害防止策をとることが重要です。

見た目には小さな火事でも、消防法では発見者による 119番通報が義務付けられており、消防に来てもらうことで再燃防止や火災報告書の発行などにも役立ちます。

②管理会社・大家さんへの迅速な連絡
火災後は、可能な限り早く 管理会社または大家さんに正確な状況を報告しましょう。小さな火事でも報告を怠ると後々トラブルに発展する場合があります。今後の対応や指示を仰ぎましょう。

③火災保険や借家人賠償責任保険の確認と申請
賃貸契約時に加入が義務づけられている場合が多い 火災保険や借家人賠償責任保険について、まずは補償内容や契約状況を確認。家財や賃貸物件への損害、仮住まい費用の補償があるかどうかをチェックし、保険会社と連絡して請求手続きに着手しましょう。
借家人賠償責任保険は、入居者の過失による賃貸物件の修繕や原状回復費用を補償するもので、賃借人が大家さんに対する責任を果たすために非常に重要です。

④責任の範囲と法的背景の理解
日本の 失火責任法では、重大な過失がない限り、近隣への延焼に伴う損害について入居者(失火者)は賠償責任を負わないと定められています。
しかし賃貸物件の **大家さんに対しては、契約上の原状回復義務(=賃借人の責任)**があり、重大な過失がなくても修繕費などの負担義務が発生します。これは法律上、失火責任法の適用外となり、賠償責任が発生する点に注意です。

⑤原状回復義務と、保険適用の境界
賃貸契約における原状回復義務は、「入居時の状態に戻すこと」が前提ですが、経年劣化は入居者負担とされないケースが一般的です。ただし、火災による損害は原状回復義務に該当し、入居者が負担する必要があります。
火災保険や借家人賠償責任保険でどこまでカバーされるか、保険会社の契約内容を正確に把握することが欠かせません。

⑥保険未加入・資力不足時のリスクと対策
賃借人が火災保険に未加入だったり、責任追及しても資力がなかったり避難した場合、大家さんへの損害補償は難しくなります。弁護士監修のケースでは、こうした際の対応として、事前対策としての保険加入の義務付けや確認の徹底が強く推奨されています。

 

■まとめ

火事を起こしてしまった際の具体的な対応
・安全第一:人命を確認し、火元がないかを慎重にチェック。
・通報義務の遂行:消防へ119通報。再燃防止のためにも必須。
・即時連絡:管理会社や大家さんへ状況報告し、指示を仰ぐ。
・保険内容の確認・申請:火災保険・借家人賠償責任保険の適用範囲を把握し、速やかに申請。
・責任範囲の理解:近隣には重大過失がなければ賠償責任なし。大家さんには原状回復義務あり。
・未加入・資力不足リスク:入居前からの保険加入義務の確認や継続監視が重要。
このように、賃貸物件で火災を起こしてしまった場合は、迅速な対応と前もっての保険加入が非常に重要です。
 

■youtube動画の台本

会話台本(セミナー風)

賃貸契約に関する初心者向けセミナー。

【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。

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やまだ

あの…もし私が住んでいる賃貸の部屋で火事を起こしちゃったら…どうすればいいんですか?
全然イメージできなくて…。

 

講師

実は、火災が起きたときの対応は、普段から知っておかないと大きなトラブルに発展するんですよ。
順を追って説明しますね。

 

やまだ

お願いします!
まず最初に何をすればいいんですか?

 

講師

まずは、何よりも人命の安全確保です。
自分や同居人にケガがないか確認し、煙や火が残っていないかを見極めます。
その上で、ブレーカーを落としたり、ガスの元栓を閉めるなど二次災害の防止が必要です。そして必ず119番通報。小さな火でも消防に来てもらわないと、再燃の危険や正式な火災報告に支障が出ます。

 

やまだ

なるほど…!
じゃあ火が消えた後は、誰に連絡するんですか?

 

講師

次は管理会社や大家さんへの報告です。
小さな火事でも後から気付かれてしまうと信用問題になります。正直に状況を説明し、指示を仰ぎましょう。

 

やまだ

でも修理代とか…全部自分で払わないといけないんですか?

 

講師

そこで大事なのが火災保険と借家人賠償責任保険です。
ほとんどの賃貸契約では加入が義務付けられています。これにより、自分の家財の補償や、部屋の原状回復費用、仮住まいの費用までカバーできる場合があります。

 

やまだ

へえ…でももし隣の部屋まで燃え広がったら、すごいお金がかかりそうで心配です。

 

講師

そこは安心してください。

日本には失火責任法があって、重大な過失がなければ近隣への延焼被害の賠償責任は負わなくてもいいんです。
ただし!大家さんに対しては別。借りている部屋は契約上“元通りにする義務”があるので、火災による損害は入居者が負担しなければなりません。

 

やまだ

えっ…じゃあ保険に入ってないと大変なことに?

 

講師

その通りです。
もし保険に未加入で、さらに資金もなければ、大家さんへの補償は難しくなります。だからこそ入居時の火災保険加入は必須なんです。

 

やまだ

わかりました!
まとめると…まずは人命確保と119番、それから大家さんへ連絡、そして保険の確認、って感じですね。

 

講師

完璧です。
火事は誰にでも起こり得ます。だから“もしも”のときの行動と、事前の保険加入が何より大切なんです。

 

やまだ

今日聞いて本当に安心しました!
これから契約書の保険の内容、ちゃんと確認してみます!

 

以上