■間取りの方位の基準は?
賃貸広告に出てくる「南向き」「東向き」などの方角は、部屋全体ではなく “主採光面” が向いている方位を示すのが基本。
主採光面とは最も大きな開口部 ─ 多くはリビングに面したバルコニーや掃き出し窓 ─ で、間取り図でもここを基準に住戸方位を決めます。不動産公正取引協議会の広告ルールでは北を0度とし、真東・真南・真西・真北を90度刻み、その中間22.5度を境に隣接方向へ区分。たとえば南から30度西へ振れていれば「南西向き」、15度しか振れていなければ「南向き」と表示できます。
主採光面が東寄りか西寄りかで「南東」「南西」など八方位が使われるほか、真南でも周囲の建物で日照が遮られる例もあるため、方位表示だけで日当たりを断定しないことが大切です。
角部屋で窓が複数ある場合は①最大の窓、②リビング、③バルコニーの順で一方向を掲示するケースが多く、南と東から採光があっても「南向き」とだけ表記されることがあります。一方で「南東角部屋」「2面採光」と併記して複数方位を強調する業者もあり、表記は統一されていません。
■方位による特徴
各方位の住み心地はライフスタイルで変わります。
南向きは終日明るく洗濯が乾きやすい反面、夏は暑く家賃高め。
東向きは朝日で目覚め午後は涼しめ。
西向きは夕方まで明るいが西日対策必須。
北向きは日照が短く家賃が抑えめで昼間不在の人向き。
■まとめ
方角表示は「バルコニーなど主採光面」の方向を示す便宜的なラベル。22.5度単位の公式基準があるものの、複数窓や角部屋では実際の採光条件が表記と異なることもあります。
内見では方位記号付き間取り図で方角を確認し、周辺建物の影や季節・時間帯の光の入り方を自分の目で確かめることが、失敗しない部屋探しのコツと言えるでしょう。
■youtube動画の台本
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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やまだ
先生、「南向きの部屋が人気です」ってよく聞くんですけど、そもそも“向き”って何を基準に決めてるんですか?
講師
いい質問ですね。
実は“お部屋全体”じゃなくて、「主採光面」、つまり一番大きな窓やバルコニーが向いている方角で決めます。
やまだ
へえ!
じゃあリビングにバルコニーが付いていれば、そのバルコニーの向きが“部屋の向き”になるんですね?
講師
そのとおりです。
ただし広告のルールでは北を0度に取って、東・南・西を90度ごと、さらに22.5度刻みで8方位に分けて表示します。真南から15度以内なら“南向き”、30度ズレると“南西向き”といった具合です。
やまだ
22.5度…細かいんですね!
でも窓が二つあって、片方が南、もう片方が東だったら?
講師
角部屋ですね。
基本は一番大きいかリビングに面した窓で決めるので、南が広ければ「南向き」だけの表記になることが多いんです。
でも広告によっては「南東角部屋」とか「2面採光」と補足する場合もあります。
やまだ
なるほど。
じゃあ、「南向き=絶対に日当たり最高」って思ってたけど、ビルに囲まれてたら違いますよね?
講師
まさにそこがポイント。
方位表示はあくまで“ラベル”的なもの。
周囲の建物や季節・時間帯で実際の日照は変わります。内見で影の落ち方を必ずチェックしてください。
やまだ
向きごとの特徴ってざっくり教えてもらえますか?
講師
南向きは、一日中明るく洗濯が乾きやすいですが、夏は暑く家賃は高めです。
やまだ
デメリットもあるんですね。
講師
東向きは、朝日で爽やかに目覚めができ、午後は涼しいので早起き派に好評です。
西向きは、夕方まで明るいんですが、西日対策必須になります。帰宅が遅い人向きですね。
やまだ
なるほど。
北向きは、太陽が当たらなそうなので人気がなさそうですね。
講師
確かに北向きは、日照は少ないけど、その分家賃が抑えめの傾向があります。
日中不在なことが多い人には良いかもしれません。
やまだ
わかりました。
絶対南向き!ではなく、自分の生活リズムで選ぶのが大事なんですね!
講師
そのとおり。
方位だけで決めず、時間帯を変えて内見すると失敗しません。
また、角部屋は窓の向きが複数あって表示と体感がズレるので要チェックです。
やまだ
今日のお話で、“向き”の裏側が分かりました!
次に部屋を探すときはコンパスとスマホで光を確認します!
講師
素晴らしい心構えですね。
では皆さんも、ご自身のライフスタイルと実際の採光を重ね合わせて、後悔のないお部屋選びをしてください。ありがとうございました!
以上