■ペット可能な物件について
ペット可物件だからといって「どんな動物でも自由に」飼えるわけではありません。
募集条件の大半は〈小型犬1匹まで〉などと細かく定められており、中型犬・大型犬・猫・エキゾチックアニマル等は不可、あるいは事前承諾制とするケースが多数です。
吠え声・臭い・爪とぎなどによる近隣トラブルや原状回復費用の増大が理由で、同じ「ペット可」でも物件ごとに許容範囲(種類・体重・頭数・抱きかかえて移動できるか等)が異なりますので、飼育細則を必ず確認し、書面で合意を取る必要があります。
また、ペットを飼う際にしばしば求められるのが「敷金積み増し」です。
一般的には元々の敷金に1か月分を上乗せ(例:敷金1→2か月)する方式で、追加分は“償却”=退去時に返還しない特約となることが9割前後といわれます。
償却化する理由は、消臭・脱脂・壁紙全面貼替え等ペット特有の原状回復費が高額になりやすく、大家側がリスクをヘッジするためです。また、多頭飼いなど条件を超える飼育をした場合やフローリング・建具への爪痕・尿染み等がある場合は、積み増した敷金を超えて実費請求されることもあります。
■退去時の清算について
退去時の清算の際は、①契約書に明示された敷金償却条項の有効性、②国交省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』が示す「通常損耗は貸主負担」という原則、③入居者の過失・特約の合理性――のバランスで決まります。
償却特約が適法でも、追加分が超過請求と感じた場合は、内訳明細(面積×単価)を請求し、ガイドラインの目安と照合することで過大請求を防げます。
■まとめ
ペット可物件でも「飼える動物の種類・数・サイズ」と「敷金積み増し(償却)の有無」を事前に確認し、契約書と飼育細則を保存しておくことが肝心です。
追加敷金は原状回復費用前払いの性格が強く、退去時は傷や臭いを抑える住み方をしていれば超過請求を防げる可能性もあるため、日頃の設備保護と証拠写真の保管が安心につながります。
■youtube動画の台本
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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やまだ
あの…「ペット可物件」って書いてあれば、ウサギでもハリネズミでも飼っていいんですか?
講師
いい質問ですね。
実は「ペット可」といっても、物件ごとに許可される種類や頭数が細かく決められています。
多くは「小型犬1匹まで」など。猫や大型犬、エキゾチックアニマルは不可か、事前承諾制のことが多いんですよ。
やまだ
へぇ…、
チラシにはそんな細かいこと書いてなかった気がします。
講師
チラシやポータルサイトは簡略表示ですからね。必ず「飼育細則」や契約書を確認しましょう。
体重制限や抱きかかえ移動の可否まで指定している場合もあります。
やまだ
猫もダメなところがあるんですか?
講師
臭い等の問題から、猫はダメというお部屋も結構あるんです。
やまだ
それから「敷金1カ月積み増し」とか、「敷金1カ月償却」と書いてある物件を見たんですが、積み増しとか償却って何ですか?
講師
ペットを飼育する場合には、敷金を追加して預けてくださいというのが敷金積み増しです。
また、「1カ月償却」って書いてあるのは、「1か月分は返さない」という意味です。
通常の敷金1カ月に、ペット用リスクヘッジとしてもう1カ月上乗せし、退去時に自動的に大家さんのものになる仕組みですね。
やまだ
返ってこないんですか!?
講師
ええ。
壁紙の全面張替え、消臭、フローリング補修などペット特有の原状回復費が高額になりがちなので、最初から前払いしてもらうイメージです。
やまだ
もし傷を付けたりしたら、積み増し分で足りないことも?
講師
あります。
例えば複数匹を内緒で飼っていたり、フローリングに深い爪痕が残ったりすると、追加請求されるケースも。逆に言えば、ルールを守って丁寧に住めば、超過請求されにくいとも言えます。
やまだ
退去時に「こんなに請求された!」ってトラブルを防ぐには?
講師
①入居前に部屋を撮影して初期状態を保存しておく
②通常損耗は貸主負担とする国交省ガイドラインを把握しておく
など、この辺りは押さえましょう。
やまだ
なるほど…ペット可でも油断しちゃダメなんですね。
講師
そのとおり。
「飼える動物・数・サイズの確認」、「敷金積み増しと償却の有無」、退去精算のルール」の3点を契約前にチェックする。
それがペットと快適に暮らす第一歩です。
やまだ
ありがとうございました!
これで安心して物件探しができそうです。
講師
ペットも入居者も幸せに暮らせる物件を選んでくださいね。
以上