■消火器代が初期費用に入ってる?
賃貸物件を契約する際に提示される「初期費用」には、敷金・礼金・前家賃・仲介手数料のほか、さまざまな名目の費用が含まれることがあります。
その中に「簡易消火器代」といった項目を見かけた場合、疑問に思う方も少なくないでしょう。これは法的に義務づけられたものではなく、主に管理会社や仲介会社が任意で設けている費用項目です。
まず、集合住宅には共用部に消火器が設置されているのが一般的であり、建築基準法や消防法によって必要な設置基準が定められています。そのため、基本的に個人の部屋にまで消火器を設置する義務はありません。あくまで「推奨」や「任意」での設置となります。
ではなぜ「簡易消火器」が初期費用に含まれてくるのかというと、管理会社の収益を上げる手段の一つとして組み込まれているケースが多いのが実情です。
価格帯は3,000〜8,000円程度が相場で、特別高機能というわけでもない簡易型が提供されることがほとんどです。入居者の安全のためという建前ではありますが、実際には営業的な側面が強い費用といえます。
■オプションサービスの問題点
また、これらは「オプションサービス」として扱われるべき性質のものであり、強制的に契約に盛り込まれるべきではありません。とはいえ、多くの場合「初期費用一式」としてあらかじめ合算されていることが多く、契約時点で特に説明がなされないまま進むこともあります。
もし納得できない場合は、「これは任意のサービスですよね?不要です」と交渉することが可能です。実際に交渉をして削除してもらえたという事例も多く見られます。
ただし、物件によっては「削除不可」とされる場合もあるため、契約前の確認が非常に重要です。
■まとめ
「簡易消火器代」は入居者の安全のために設けられているように見えて、実際には義務ではなく管理会社側の営業要素が強い項目です。
不明瞭な初期費用がある場合は遠慮なく詳細を確認し、必要に応じて削除交渉を行うことが、納得のいく契約への第一歩となるでしょう。
■youtube動画の台本
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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やまだ
あの…先生、ちょっと聞いてもいいですか?
講師
どうしました、やまださん。
やまだ
初めての一人暮らしなんですけど、見積もりに「簡易消火器代」って書いてあって…。
これって絶対払わないといけないんですか?
講師
ああ、いい質問ですね。
実はそれ、よくある“任意のオプション費用”なんですよ。
簡易消火器というのは、名前の通り小型で簡単に使える消火器なんですが、法律で部屋ごとに設置を義務づけられているわけではありません。
やまだ
えっ、じゃあ、建物全体には備え付けの消火器があるってことですか?
講師
そうです。
集合住宅の場合、共用部の廊下などに法律に基づいて消火器が設置されています。
それで十分なはずなんです。だから、各部屋にまで設置しなきゃいけないというルールはないんです。
やまだ
じゃあ、なんでお部屋ごとに簡易消火器を買わせようとしてるんですか?
講師
そこが問題でね、この簡易消火器は、多くの場合、管理会社が利益を上げるために初期費用に含めてくるんですよ。
だいたい3,000〜8,000円くらいで、特別なものでもないことが多いです。
やまだ
えー!そんなの払いたくないです…。
講師
そう感じるのが当然です。
ただ、これは“任意のサービス”なので、本来は拒否することもできます。
「不要です」と伝えれば削除してもらえるケースもあるんですよ。
やまだ
でも、そういうことってこっちから言わないと教えてくれないんですね…。
講師
残念ながらその通りです。
見積もりの中にさりげなく入っていて、知らずに支払ってしまう人も多いですね。
だから、初期費用の明細は必ず一つ一つ確認するクセをつけてください。
やまだ
はい…!
これからはちゃんと見ます!ちなみに、絶対に断れない場合もあるんですか?
講師
物件によっては「削除不可」と言われることもあります。
そのときは交渉するか、どうしても納得できなければ別の物件を検討するのも一つの手ですよ。
やまだ
なるほど…今日は聞いてよかったです。ありがとうございます!
講師
どういたしまして。
契約のときは、“知らないこと”が損につながりますから、疑問があれば必ず質問してくださいね。
以上