■火災保険に加入しなくてはいけないの?

賃貸物件を借りる際、火災保険の加入は基本的に「必須」です。

法律上の義務ではありませんが、多くの賃貸借契約では契約条件として火災保険の加入が明記されています。これは、物件の所有者(オーナー)や管理会社が物件の損害に備えるためだけでなく、入居者自身や隣人への損害賠償に備える目的も含まれているためです。

火災保険というと、火事だけに備える保険と思われがちですが、実際には「家財保険」とセットになっていることが多く、火災、水漏れ、落雷、風災、盗難といった様々なリスクをカバーする内容となっています。つまり、部屋そのものに被害があった場合の補償(建物に関する補償)はオーナー側が加入している保険で対応されますが、借主が所有する家具や家電といった「家財」や、借主が原因で起こしてしまった損害(例:隣室への水漏れなど)については、入居者の火災保険での補償が必要になります。

特に重要なのが「借家人賠償責任保険」が含まれていることです。これは、例えば入居者がうっかり火を出して部屋を焼いてしまった場合などに、オーナーに対して発生する修繕費などの賠償責任を補償するもので、1000万円〜2000万円程度の補償がついていることが一般的です。この補償が含まれていない保険は、賃貸契約上、認められないケースが多いため注意が必要です。

 

■自分で保険は選択できないのか

「火災保険は自分で選んで加入したい」と考える方もいますが、実際には契約書に「指定の保険会社の火災保険に加入すること」と明記されていることが多く、自由に選べないのが現状です。

これは、管理会社と提携している保険会社を使うことで、契約処理の一括化やトラブル発生時の対応を円滑に行う目的があります。そのため、知り合いの保険代理店などを通じて加入したいと思っても、契約上それが許可されない場合が多いのです。

 

■まとめ

賃貸契約における火災保険は「自分の家財を守る」「第三者やオーナーへの賠償責任に備える」ために必要であり、契約条件に従って指定の保険に加入することが求められるのが一般的です。

契約時には補償内容と保険料をよく確認し、必要な補償が含まれているかを必ずチェックしましょう。

 

■youtube動画の台本

【登場人物】
さくら:新入社員。不動産業界はまだ慣れていない。
課 長:ベテラン営業社員。現場経験が豊富で指導役。

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さくら

課長、ちょっと質問いいですか?
お客様から「火災保険って絶対に入らなきゃいけないの?」って聞かれたんですけど、どう答えればいいんでしょうか?

 

課長

いい質問だね。火災保険は法律で義務づけられてるわけじゃないけど、ほとんどの賃貸契約では加入が必須になってるよ。契約書にも「指定の火災保険に加入すること」って書いてあることが多い。

 

さくら

あ、そうなんですね。でも、火災保険ってオーナーさんが入ってるんじゃないんですか?

 

課長

オーナーが入ってるのは建物全体のための保険だね。借主が入る火災保険は、部屋の中の家具や家電――つまり“家財”の補償がメイン。それに、自分が原因で火事を出した場合の「借家人賠償責任」もカバーされているんだ。

 

さくら

借家人賠償責任…?それって何ですか?

 

課長

たとえば、佐藤さんがうっかりコンロの火をつけっぱなしにして火事を起こしたとする。そうなると部屋の修繕費をオーナーに支払わなきゃならない。その時に補償してくれるのが「借家人賠償責任保険」なんだ。
補償額は1000万円とか2000万円とか、結構大きい額がついてるのが一般的だよ。

 

さくら

なるほど…自分のミスで部屋を傷つけたり燃やしちゃった場合に備える保険なんですね。

 

課長

その通り。

あと、「知り合いの保険会社で入りたいんだけど」って相談されることもあるけど、契約で指定されてる保険以外は基本NG。管理会社やオーナーがトラブル対応しやすいように、提携している保険会社を指定してるんだよ。

 

さくら

じゃあ、好きな保険会社を選べないこともあるんですね。

 

課長

そう。だから「火災保険はなぜ必要なのか」と「どこで加入するか」は、最初にしっかり説明してあげることが大事。お客様に安心してもらえるようにね。

 

さくら

分かりました!保険は“もしものため”の備えってことですね。丁寧に説明してみます!

 

以上