■設備や造作物を交換、追加したい
賃貸物件において「エアコンが古いから最新のものに取り替えたい」と考える入居者は少なくありません。
しかし、賃貸契約における原則として、エアコンなどの造作や設備を借主が勝手に交換・設置することはできません。
これは、設備の所有権が貸主にあるためです。管理会社や貸主の承諾なしに設備を変更することは、契約違反となる可能性があるため注意が必要です。
■賃貸借契約上の取扱
多くの賃貸借契約では、「借主は貸主の承諾なく造作・改造・増設・撤去をしてはならない」といった条項が盛り込まれています。また、設備を交換したとしても、退去時に新たに設置したエアコンの「買取り請求」は基本的に認められていないケースが大半です。
つまり、自費で設置した設備であっても、退去時には原状回復として撤去しなければならず、撤去費用も自己負担となる可能性があります。
また、仮に管理会社の承認を得てエアコンを交換する場合でも、管理会社指定の業者を使うよう求められることが多いです。これは、設備の質や安全性、保証内容などを一定基準で管理するためです。勝手に業者を手配して設置した場合、のちにトラブルが起きた際に補償や修理の対応に支障をきたす恐れもあります。
さらに、設置後に貸主や管理会社が設備の所有権をどう扱うかも契約内容によって異なります。まれに「残置物」として扱われ、撤去不要でそのまま置いていくことを認めるケースもありますが、その場合も事前に書面での確認が必要です。
■まとめ
設備の交換や追加については、「自己判断で行わない」「必ず管理会社に事前相談」「許可が出た場合も条件(指定業者の使用、撤去義務など)を厳守」というのが基本ルールです。
エアコンが著しく劣化している場合は、まずは管理会社に「修理または交換をしてほしい」と相談することが先決です。
多くの賃貸物件では、故障や老朽化による交換は貸主負担で行われることが一般的です。
入居者としては、契約内容をしっかり確認し、ルールに従った対応を取ることが大切です。
■youtube動画の台本
【登場人物】
さくら:新入社員。不動産業界はまだ慣れていない。
課 長:ベテラン営業社員。現場経験が豊富で指導役。
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さくら
課長、ちょっとお伺いしたいことがあるんですが…
課長
さくらさん、どうしたの?
さくら
お客様から、「備え付けのエアコンが古くて効きが悪いので、自分で最新のものに取り替えてもいいか」って相談を受けまして…。勝手に交換しても大丈夫なんでしょうか?
課長
あぁ、それはね、借主の判断だけで勝手に設備を取り替えるのはNGなんだよ。
さくら
やっぱりそうなんですね。契約書に何かそういう条項があるんですか?
課長
あるよ。
たいていの賃貸契約書には、「貸主の承諾なく造作や設備の変更・設置をしてはいけない」って書いてある。エアコンもその対象になるね。
さくら
じゃあ、仮にお客様が自費で最新のエアコンに変えたとしても、退去時にはそのまま置いておけるんでしょうか?
課長
それも難しいな。買い取り請求は基本的に認められていないし、原状回復として撤去を求められるケースが多いよ。
しかも撤去費用も自己負担。
さくら
えっ、せっかく取り替えてもダメなんですか…。
じゃあ設置した分損しちゃうことも?
課長
そう。
だから、どうしても取り替えたいなら、必ず事前に管理会社や貸主に相談して、書面で許可をもらうのが鉄則だね。
さくら
なるほど…。
ちなみに、工事をお願いする業者も自由に選べるんですか?
課長
それも要注意。管理会社が指定する業者しか使えないって条件があることも多いから、勝手に工事してトラブルになったら大変だよ。
さくら
確かに…。
じゃあ、まずはエアコンの調子が悪いって連絡があった時点で、管理会社に交換や修理をお願いする形がベストですね?
課長
そうそう。
故障や老朽化なら、貸主側の費用で交換対応してくれる場合が多いからね。
借主が負担する必要はないケースも多いんだ。
さくら
よく分かりました!
今後はお客様にも、勝手な設備変更はトラブルの元になるって、きちんと伝えるようにします。
課長
うん、それが大事だよ。契約内容をしっかり確認して、ルールに沿った対応を取るのがプロの仕事だからね。
以上