山頭火の「行乞記」昭和7年ー4/4 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
お四国を錦札で巡拝できる喜びを感じて
弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

四月五日

花曇り、だん/\晴れてくる、心も重く足も重い、

やうやく二里ほど歩いて二時間ばかり行乞する、

そしてあんまり早いけれどこゝに泊る、松原の一軒家だ、

屋号も松原屋、まだ電燈もついてゐない、

しかし何となく野性的な親しみがある(二五・上)

宇佐-25

自省一句か、自嘲一句か
もう飲むまいカタミの酒杯を撫でてゐる(改作)

自戒三章もなか/\実行出来ないものであるが、

ちつとも実行出来ないといふことはない、

或る時は菩薩、或る時は鬼畜、それが畢竟人間だ。


今日歩いて、日本の風景――

春はやつぱり美しすぎると感じた、

木の芽も花も、空も海も。……


風呂が沸いたといふので一番湯を貰ふ、

小川の傍に杭を五六本打込んでその間へ長州釜を狭んである、

蓋なんかありやしない、藁筵が被せてある、――

まつたく野風呂である、

空の下で湯の中にをる感じ、なか/\よかつた、

はいらうと思つたつてめつたにはいれない一浴だつた。


同宿二人、男は鮮人の飴屋さん

(彼はなか/\深切だつた、私に飴の一塊をくれたほど)、

女は珍重に値する中年の醜女、

しかも二人は真昼間隣室の寝床の中でふざけちらしてゐる、

彼等にも春は来たのだ、

恋があるのだ、彼等に祝福あれ。


今夜もたび/\厠へいつた、

しぼり腹を持ち歩いてゐるやうなものだ、

二三日断食絶酒して、水を飲んで寝てゐると快くなるのだが、

それがなか/\出来ない!


層雲四月号所載、

井師が扉の言葉『落ちる』を読んで思ひついたが――

落ちるがまゝに落ちるのにも三種ある、

一はナゲヤリ(捨鉢気分)

二はアキラメ(消極的安心)

三はサトリ(自性徹見)である。


世間師には、たゞ食べて寝るだけの人生しかない!

 

 岩を掘り下げる音の春日影
・植ゑられてもう芽ぐんでゐる
・明日はひらかう桜もある宿です(木賃宿)
 酒がやめられない木の芽草の芽
・旅の法衣に蟻が一匹
 まッぱだかを太陽にのぞかれる(野風呂)
 旅やけの手のさきまで酒がめぐつた
・梅干、病めば長い長い旅
・こゝに住みたい水をのんで去る(添作)
・あすもあたゝかう歩かせる星が出てゐる
・ふんどしは洗へるぬくいせゝらぎがあり(木賃宿)
 春夜のふとんから大きな足だ
    □
・枯草の風景に身を投げ入れる(改作)

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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