山頭火の「行乞記」昭和7年ー3/12 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
お四国を錦札で巡拝できる喜びを感じて
弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

三月十五日 十六日 十七日 十八日

 滞在、よい湯よい宿。

宇佐-25
朝湯朝酒勿体ないなあ。

 駐在所の花も真ッ盛り(追加)
    □
・さみしい湯があふれる
・鐘が鳴る温泉橋を渡る

 

余寒のきびしいのには閉口した、

湯に入つては床に潜りこんで暮らした。
雪が降つた、忘れ雪といふのださうな。
お彼岸が来た、何となく誰もがのんびりしてきた。

 

 ざれうた
うれしのうれしやあつい湯のなかで
  またの逢瀬をまつわいな
わたしやうれしの湯の町そだち
  あついなさけぢやまけはせぬ
たぎる湯の中わたしの胸で
  主も菜ツ葉もとけてゆく

 

もつとも温泉は満喫したが、

嬉野ガールはまだ鑑賞しない!
方々からのたより――留置郵便――を

受取つてうれしくもありはづかしくもあつた、

昧々、雅資、元寛、寥平、緑平、俊の諸兄から。


緑平老の手紙はありがたすぎ、

俊和尚のそれはさびしすぎる、

どれもあたゝかいだけそれだけ一しほさう感じる。


こゝに落ちつくつもりで、緑、俊、元の三君へ手紙をだす、

緑平老の返事は私を失望せしめたが、

快くその意見に従ふ、

俊和尚の返事は私を満足せしめて、

そして反省と精進とを投げつけてくれた。

とにもかくにも歩かう、歩かなければならない。
こゝですつかり洗濯した、法衣も身体も、或は心までも。

春が来た旅の法衣を洗ふ

小入無間、大絶方所、自由自在なところが雲水の徳だ。


今日は一室一人で一燈を独占して読書した

(一鉢までは与へられないけれど)。
先日来同宿の坊主二人、

一は常識々々と口癖のやうにいふ非常識な男、

他は文盲の好々爺。


こゝの主人公は苦労人といふよりも磨かれた人間だ、

角力取、遊人、世話役、親方、

等々の境地をくゞつてきて本来の自己を造りあげた人だ、

強くて親切だ、大胆であつて、しかも細心を失はない、

木賃宿は妻君の内職で、彼は興行に関係してゐる

話す事も行ふ事も平々凡々の要領を得てゐる。


彼からいろ/\の事を聞いた、

相撲協会内部の事、茶の事、女の事。……


嬉野茶の声価は日本的(宇治に次ぐ)、

玉露は百年以上の茶園からでないと出来ないさうである、

茶は水による、水は小川の流れがよいとか、

茶の甘味は茶そのものから出るのでなくて

茶の樹を蔽ふ藁のしづくがしみこんでゐるからだといふ、

上等の茶は、ぱつと開いた葉、

それも上から二番目位のがよいさうである。
マヲトコツクル(勇作)の情話も愉快だつた。

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

日本ブログ村に参加しています
こちらのバナーをクリックすると

大勢の方のお遍路ブログが覗けます 

お寺好きの方 ぜひクリックしてね。

  ダウン     ダウン               ダウン

 にほんブログ村 旅行ブログ 遍路(・巡礼)へ  にほんブログ村 ポエムブログ 詩集へ ブログランキング・にほんブログ村へ

クリック有難う御座いました