山頭火の「行乞記」昭和7年ー1/14 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

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【南無大師遍照金剛】 * 7

一月廿三日

 雨后晴、泥中行乞、呼子町、松浦屋(三〇・中)

宇佐-25


波の音と雨の音と、

そして同宿のキ印老人の声で眼覚める、

昨夜はアル注入のおかげで、ぐつすり寝たので、

身心共に爽やかだ。


とう/\雨になつたが、

休養するだけの余裕はないので、

合羽を着て八時過ぎ出立する、

呼子町まで二里半、十一時に着いて二時半まで行乞、

行乞相もよかつたが、所得もよかつた。


呼子は松浦十勝の随一だらう、

人も景もいゝ感じを与へる、そしてこの宿もいゝ、

明日も滞在するつもりで、少しばかり洗濯をする。


晴れて温かくなつた、

大寒だといふのに、このうらゝかさだ、

麦が伸びて豌豆の花が咲く陽気だ。


私でも――私の行乞でも何かに役立つことを知つた、

たとへば、私の姿を見、私の声を聞くと、

泣く児が泣くことをやめる!


中流以上の仕舞うた屋で、

主婦も御隠居もゐるのに、

娘さん――モダン令嬢が横柄にはじいた、

そこで、私もわざと観音経読誦、

悠然として憐笑してやつた。


例の鍋とり屋さんとまた同宿、

徳須恵では女が安い話を聞かされた、

一枚も出せば飲んで食つて、そして抱いて寝られるといふ、

あなかしこ/\、

それにつけても昨夜のキ印老人は罪のない事をいつた、

彼は三十八万円の貯金があるといふ、

その利子で遊ぶといふ、わはゝゝゝゝ。


今日は郵便局で五厘問答をやつた、

五厘銅貨をとるとらないの問答である、

理に於ては勝つたけれど情に於て敗けた、

私はやつぱり弱い、お人好しだ。


唐房といふ浦町が唐津近在にある、

そのかみの日支通商を思はせる地名ではないか。

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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