山頭火の「行乞記」昭和6年ー1/10 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
お四国を錦札で巡拝できる喜びを感じて
弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

一月十四日 曇、降りさうで降らない雪模様。

しかし、とにかく、炬燵があつて粕汁があつて、そして――。
宇佐-25
東京の林君から来信、

すぐ返信を書く、お互に年をとりましたね、

でもまだ色気がありますね、

日暮れて途遠し、そして、さうだ、

そしてまだよぼ/\してゐますね。……


先夜の吹雪で吹きとばされた綿入遂に不明、

惜しい品でないだけ、それだけ考へさせる。

 

 雪空、痒いところを掻く
 雪空、いつまでも女の話で
(隣室の青年達に)
・雪の日の葱一把
・一把一銭の根深汁です


 一月十五日 晴、三寒四温といふがじつさいだ。

少々憂欝である(アルコールが切れたせいか)、

憂欝なんか吐き捨てゝしまへ、

米と塩と炭とがあるぢやないか。


夕方からまた出かける(やつぱり人間が恋しいのだ!)、

馬酔木さんを訪ねてポートワインをよばれる、

それから彼女を訪ねる、

今夜は珍らしく御気嫌がよろしい、

裏でしよんぼり新聞を読んでゐると、

地震だ、かなりひどかつたが、

地震では関東大震災の卒業生だから驚かない、

 

それがいゝ事かわるい事かは第二の問題として。
けふは家主から前払間代の催促をうけたので、

わざ/\出かけたのだつたが、

馬酔木さんには何としてもいひだせなかつた、

詮方なしに、彼女に申込む、

快く最初の無心を聞いてくれた、

ありがたかつた、

 

同時にいろ/\相談をうけたが!
彼女のところで、

裏のおばさんの御馳走――

それは、みんなが、

きたないといつて捨てるさうなが――

をいたゞく、

 

老婆心とはおばさんの贈物だらうか、

みんなは何といふ罰あたりどもだらう、

じつさい、私は憤慨した、

鳴りつけてやりたいほど興奮した。

 

今日で、熊本へ戻つてから一ヶ月目だ、

あゝこの一ヶ月、

私は人に知れない苦悩をなめさせられた、

それもよからう、

私は幸にして、苦悩の意義を体験してゐるから。

 

・痛む足なれば陽にあてる
・人のなつかしくて餅のやけるにほひして
・よう寝られた朝の葉ぼたん
 雪もよひ雪とならなかつたビルデイング
・何か捨てゝいつた人の寒い影
・そうてまがる建物つめたし
・子のために画いてゐるのは鬼らしい(馬酔木さんに)
・警察署の雪はまだ残つてゐる
・あんなに泣く子の父はゐないのだ

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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