山頭火の「行乞記」昭和5年ー11/19 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

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【南無大師遍照金剛】 * 7

十一月廿二日 晴曇定めなし、時々雨、一流街行乞、宿は同じ。
宇佐-25
お天気は昨日からの

正確にいへば一昨日からのつゞき、

降つたり晴れたりだ、十時近くなつて、

どうやら大して降りさうもないので出かける、

こんな日は、ひとり火鉢をかゝへて、

読書と思索とに沈潜したいのだけれど、

それはとうてい許されない。


草鞋ではとてもやりきれないので、

昨日も今日も地下足袋を穿いたが、

感じの悪い事おびたゞしい。


二時過ぎまで行乞、

キス一杯の余裕あるだけはいたゞいて、

地橙孫さんを訪ねる、不在、奥さんに逢つて

(女中さん怪訝な顔付で呼びにいつた)

ちよつと挨拶する、白状すれば、

昨春御馳走のなりつぱなしになつてゐるし、

そのうへ少し借りたのもそのまゝになつてゐる

逢うて話したいし、逢へばきまりが悪いし、

といつてこゝへ来て黙つてゐることは私の心情が許さないし、

とにもかくにも地橙孫さんは尊敬すべき紳士である、

私は俳人としてゞなく、

人間として親しみを感じてゐるのである。


宿に戻つて、すぐ入浴、そして一杯、

それはシヨウチユウ一杯とドブ一杯とのカクテルだ、

飲まずにはゐられないアルコール(酒とはいはない)、

何とみじめな、そして何とうまいことだろう!


下関は好きだけれど、煤烟と騒音とには閉口する、

狭くるしい街を人が通る、

自動車が通る、荷馬車が通る、オートバイが通る、自転車が通る

その間を縫うて、

あちらこちらと行乞するのはほんたうに嫌になります。


生きてゐることのうれしさとくるしさとを毎日感じる、

同時に人間といふものゝ

よさとわるさとを感ぜずにはゐられない

それがルンペン生活の特権とでもいはうか、

それはそれとして明日は句会だ、

どうかお天気であつてほしい、

好悪愛憎、我他彼此のない気分になりたい。

 

   改作二句(源三郎居即事)
・吠えて親しい小犬であつた
・まづ朝日一本いたゞいて喫ひこむ

    □
・旅はきらくな起きるより唄
・雨をよけてゐるラヂオがきこえる
 ハジカレたが菊の見事さよ

(ハジカレは術語、御免の意味)
 お経とゞかないヂヤズの騒音

(或は又、ヂヤズとお経とこんがらがつて)
 風の中声はりあげて南無観世音菩薩
・これでもお土産の林檎二つです
 火が何よりの御馳走の旅となつた

  改
 紅葉山へ腹いつぱいのし

・藪で赤いは烏瓜
 坐るよりよい石塔を見た
・ならんで尿する空が暗い
 また逢ふまでの山茶花を数へる
・土蔵そのそばの柚の実も
(福沢旧邸)

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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