山頭火の「行乞記」昭和5年ー10/16 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
お四国を錦札で巡拝できる喜びを感じて
弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

十月十七日 曇后晴、休養、宿は同前。
宇佐-25
昨夜は十二時がうつても寝つかれなかつた、

無理をしたゝめでもあらう、

イモシヨウチユウのたゝりでもあらう、

また、風邪気味のせいでもあらう、

腰から足に熱があつて、

くて痛くて苦しかつた。


朝のお汁に、昨日途上で貰つて来た唐辛を入れる、

老来と共に

辛いもの臭いもの苦がいもの渋いものが親しくなる。


昨日といへば農家の仕事を眺めてゐると、

粒々辛苦といふ言葉を感ぜずにはゐられない、

まつたく粒々辛苦だ。
身心はすぐれないけれど、むりに八時出立する、

行乞するつもりだけれど、発熱して悪感がおこつて、

とてもそれどころぢやないので、

やうやく路傍に小さい堂宇を見けて

そこの狭い板敷に寝てゐると、

近傍の子供が四五人やつて

声をかける、

 

見ると地面に茣蓙を敷いて、

それに横はりなさいといふ、ありがたいことだ、

 

私は熱に燃え悪感に慄へる身体をその上に横たへた、

うつら/\して夢ともなく現ともなく

二時間ばかり寝てゐるうちに、

どうやら足元もひよろつかず声も出さうなので、

二時間だけ行乞、

しかも最後の家で、とても我慢強い老婆にぶつかつて、

修証義と、観音経を読誦したが

読誦してゐるうちに、だん/\身心が快くなつた。

 

 大地ひえ/″\として熱あるからだをまかす
・いづれは土くれのやすけさで土に寝る
 このまゝ死んでしまふかも知れない土に寝る
 熱あるからだをなが/\と伸ばす土

 

前の宿にひきかへして寝床につく、

水を飲んで(こゝの水はうまくてよろしい)

ゆつくりしてさへをれば、

私の健康は回復する、

果して夕方には

一番風呂にはいるだけの勇気が出て来た。


やつと酒屋で酒を見つけて一杯飲む、

おいしかつた、焼酎とはもう絶縁である。


寝てゐると、どこやらで新内を語つてゐる、

明烏らしい

あの哀調は病める旅人の愁をそゝるに十分だ。

たつた一匹の蚊で殺された
病んで寝て蠅が一匹きたゞけ

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

日本ブログ村に参加しています
こちらのバナーをクリックすると

大勢の方のお遍路ブログが覗けます 

お寺好きの方 ぜひクリックしてね。

  ダウン     ダウン               ダウン

 にほんブログ村 旅行ブログ 遍路(・巡礼)へ  にほんブログ村 ポエムブログ 詩集へ ブログランキング・にほんブログ村へ

クリック有難う御座いました