利き酒日記ビール編その54ベルギーのビールです。
ビールとは言っても、サクランボウをつけ込んでいて、日本の法律だと発泡酒の扱いになってしまう。
だったら酒税が安くなるのかもしれないが、375mlで700円以上もする。
ベルギーの他のビールに比べても格段に高い。
確かに手がかかってはいるのだけれど。
そう。
安直なフレーバードビールとは全然違います。
まずビール、ビールと呼ん副職でいるけれどベースになるのがランビック。
ビールというのは基本的に麦芽と水、そしてホップから出来ています。
麦芽を糖化、発酵させてホップで香り付けする。
水はいわずもがな。
発酵には普通純粋培養されたイースト菌が関与するのだけれど、このランビックはなんとその辺に飛び回っている蔵付き或いは蔵の外の酵母というかバクテリアによって作られると言う何とも珍しいビールなのです。
恥ずかしながら自分はまだ生きのランビックを呑んだことがないです。
情けないけど、実際あんまり売ってない。
想像するにあまりに独特な風味を持ち、かつては品質も一定しなかったランビックをみ易くする為に果物を漬け込んだのではないだろうか。
ウィスキーの創成期つまり樽熟成が行なわれるようになる前に若いスピリッツにハーブで味付けをし、ジンが誕生したのと同じような話で。
1年寝かせたランビックにクリークスミミザクラと呼ばれるサクランボウの一種そのままでは獅チぱくて食べられないと言うを漬け込み、さらに瓶内で二次発酵させて出来るのがこのクリークというビールなのである。
ゴブレットに注ぐと色はもう赤ワインそのもの。
大人の色です。
泡が可愛らしいピンクを帯びるのがサクランボウをかろうじて感じさせる。
香りは何だろう。
何なのか思い出せないけど、子供の頃、駄菓子屋で嗅いだ匂いを連想する。
あのケミカルなお菓子たちだ。
口に含むとアメリカンチェリーのような濃厚な甘みを感じ、同時に獅エじ、引き締める。
言わば大人の女性の飲み物ですね。
当たり前だけど子供の飲み物じゃない。
最近バナナやチョコレートのビールなんかがあるけど、そういう安直なフレイバードビールとは一線を画しますね。
確かにみ易いのだけれど、豊穣な余韻を讃えます。
