それっぽい仕事Part2

子会社への出張ついでに
燕三条の法務局を訪問しました
建物に歴史を感じます

最近、
なんでそれっぽいことやってるのか、
というと、

いまのところ、
世間ではほぼ目立っていない
令和8年4月1日施行の不動産登記法の改正、
要は、
登記名義人の住所変更登記等の義務化
に備えて、
今のうちに仕込みっていう感じです

所属会社も、一応今年で創業70周年だったりするので、
取得した不動産のなかには、
登記名義(甲区)が、
取得時点の旧本店の住所のままというのがそれなりにあります
(何回か移転しているのでバラバラ)

不動産登記には、
法人登記みたいな登記義務がないので
本店を移転するたびに、
所有不動産について一々住所変更等をする実益が所有者にありません
(変更登記するのにお金がかかりますし、、)

ところが、
今回の不動産登記法の改正は、
昔から所有している不動産も含めて、
全部が登記義務の対象にするというわけなので、
令和8年4月1日の施行日からは、
法人個人問わず、
所有不動産について
住所変更登記等が義務化されます

法改正の根っこにあるのは、
相続登記の義務化と同じ
所有者不明不動産の解消にあるので、

古い住所で登記されたままの過去に取得した不動産についても、施行日から2年以内に現在の住所に変更すること(令和10年3月31日までに登記を完了すること)が求められることになりました

過料の定めもあるということで、
そうなると、
コンプライアンス重視の上場会社としては、「対応する」一択、、、
になるんじゃないかなと思っています

いざ、義務化が始まったら、
どれくらいの会社が、どれくらいの数の登記を申請しないといけないのか、
法務局も忙しくなるでしょうし、
現場はそれなりに混乱しそうです

そして、
これに先行して施行されたのが、
令和6年4月1日の改正不動産登記法

不動産の登記名義人についての登記事項の追加ですが、令和8年の法改正と一体の改正となっています(段階的施行ってやつです)

内容は
令和6年4月1日から、
株式会社の場合、
会社法人等番号が登記事項に加わったというもの

令和8年から先は、
この会社法人等番号をキーにして、法人登記のシステムと、不動産登記のシステムを連携させるんだそうで、
もともと義務だった法人登記の住所を変えれば、不動産登記のほうは、職権で変更するという流れを想定しているそうです(しかも、職権だから非課税、つまり無料)

これはたしかに便利です

デジタル化の恩恵だとは思うのですが、
施行日前に取得している不動産については
当然、会社法人等番号が入っていません

だから、それを補う措置として
所有者が
不動産を管轄する法務局に対して「会社法人等番号の職権登記の申立」をすると、
登記官が職権で会社法人等番号を付記登記するという措置(こちらももちろん非課税)が、いまとられています

その申立方法は、
省令改正のときの
パブリックコメントで
「できるだけ簡素に」という要請があったからか、確かに簡素化されていて、
オンライン申請の場合であれば
電子署名不要、ということになっています

また、
いまから遡って、だいたい平成24年くらいまでの住所であれば、法人登記のデータがコンピューター化されているので
申立時に会社法人等番号を伝えれば、
添付書面すら不要です
(登記官が変遷をシステムで追えるから)

この条件に全部当てはまれば、
まさに「申立」するだけ、
これは簡単です

ただ
当社の場合は、残念ながら
所有する不動産のほとんどが
コンピューター化前の住所だったりするので、
会社法人等番号を伝えるだけでは
住所の繋がりを証明できませんでした

そうなると、住所の繋がりを説明するために
閉鎖謄本を付けて申立しないといけない、
ということになっています
(それで最近法務局に立ち寄っています)

ちなみに、
会社法人等番号の職権付与の申立をするときの申請情報、添付情報が用意できてしまえば、
いわゆる通常の住所変更の登記をすることもできるわけですが、
住所変更登記でやると、
職権登記にはならないので、
通常の登記扱いで登録免許税もかかってしまい、いまやるには実益がないと思います

あと、
今回の法改正について書かれた民事局の資料では、
法人登記で住所等の登記を変更したら、
システム間連携で不動産登記に反映させることを想定する、
とだけ書かれています

つまり、
すでに本店を移転していて、
法人登記も終わっている場合は、
起点となる法人登記の変更が行われない(しようがない)ので、
システム間連携とやらがどうなるのかについても、書かれていません

令和8年法改正についての省令は、
施行直前にならないと出ないので、
そのときが来たら確認しようと思いますが、
「会社法人等番号の登記はされているけど、
最新の住所等になっていない登記記録」についてどうするのか、施行日が近づいてきたら、省令がパブリックコメントにかかるでしょうから
、不足があれば質問してみようと思います

ちなみに私は、
次の3つが考えられると思います

会社法人等番号の登記さえしておけば、
①義務は履行したことになる
(次の何らかの登記のときにシステム間連携される)
または、
令和8年の施行日以降に
②登記官が住所等を職権で最新に変えてくれる
(個人の所有不動産の場合は、定期的に住民票のシステムを確認しにいくことが想定されています)
③「住所等の職権変更の申立(仮称)」の省令が出る
(今回と同じように、申立てを受けて動く)
のいずれか

私がいま、仕込んでいるのは、
①か②がいいなと思っているからです
(欲をいえば②がいい)
③でも良いんですが、やはり面倒

いずれにしても、
今後、職権で変えてくれることになりそうな不動産登記について、
いまわざわざ印紙税を払って自主的に変更する必要はないと思うので、
将来、どういう感じにするのかを含め、
いまのうちから楽しみにしたいと思います