ごめんなさい!ボクはアニメタルをバカにし過ぎてました! 第2話『アニメタルマラソン5 レビュー』 | C.I.L.

ごめんなさい!ボクはアニメタルをバカにし過ぎてました! 第2話『アニメタルマラソン5 レビュー』

メタルマニアの彼女さんのお陰で、今までバカにしていた今は亡き 『アニメタル』 のステキさを再発見したオレ様。

そんなオレ様はアニメタルへのお詫びを込めて、アルバム全曲レビューをしてみようと思い至った次第。


今回取り上げるのは、元ガーゴイルの屍忌蛇が脱退した後のアルバム 『アニメタルマラソン5』 である。

<アニメタルマラソン5 >

1. 殺戮の十字架
アルバムのオープニングを飾るオリジナルナンバー。ヒロイックな勇壮さの影に哀愁を帯びたギターが特徴的。大変メタル的な曲なのだが、それと同時にゲーム音楽的なノリも感じたりする。

2. 「聖闘士星矢」~ペガサス幻想
メイクアップの歌っていた原曲もハードロック要素が強かったが、それをさらに轟音にした感じで原曲との違和感は少ない。曲の完成度は高く、その後の展開に期待を持たせてくれる。

3. 「闘士ゴーディアン」~闘士ゴーディアン
原曲のまったり感が無く、ゴーディアンがまさかここまでかっこよくなるとは…。基本的にミディアムテンポのメビメタに演歌調のヴォーカルラインを乗せたかのような、不思議なんだけどかっこいい1曲である。

4. 「超人戦隊バラタック」~超人戦隊バラタック
ゴーディアンと同様によくもまあバラタックの歌をここまで轟音メタルに仕上げたもんだと感動できる。英三のギリギリ一杯なシャウトがたまらない。

5. 「合身戦隊メカンダーロボ」~トライアタック!メカンダーロボ
ゴーディアン、バラタック、メカンダーロボと続く 「原曲が微妙にダサイ」 シリーズである。やはりこれもメタル化されてかなり攻撃的な、疾走感というよりひたすら前に前に突撃していく感じに仕上がっている。「メッカンダーメッカンダーメッカンダーロボ!」の部分がすげえ痺れる。

6. 「SF西遊記スタージンガー」~スタージンガーの歌
これはちょっと無理があったかな?と思う。そつなくまとまってはいるんだが、インパクト的に弱く、次のムテキングへの繋ぎのためだけにあるような感じ。

7. 「とんでも戦士ムテキング」~ローラーヒーロー・ムテキング
この凄まじいまでの疾走感はなんじゃろか?ローラースケートというよりも、巨大なタンクであらゆる物をなぎ倒して進んで行くイメージである。原曲のイメージは損なわず、途中で転調入れたりしながら轟音メタルとして完成させた逸品。

8. 「未来警察ウラシマン」~ミッドナイト・サブマリン
英三のキーが限界一杯なのかかなり危ういw
これもスタージンガー同様にメタル化しなくても良かったような気がしないでも無い。

9. 「キャプテン・フューチャー」~夢の舟乗り
ところがこのキャプテンフューチャーの歌が妙にかっこよかったからビックリ。曲よりもむしろバックのコーラスのシャウトが物凄く笑えてかつかっこいい。「どっちを(どっちを) 向いても宇宙(宇宙)」のとこ。

10. 「キン肉マン」~キン肉マンGo Fight!
原曲のメロディラインを残しつつも、ツーバスドコドコ!ギターティロリロ!と高速メタル化したキン肉マン。問答無用の勢いを感じるナンバーである。

11. 「キン肉マン」~炎のキン肉マン
オレがこのアルバムの中で最もグっと来た名曲。原曲がそうだからというのもあるが、少しずつ盛り上がっていく明るく正統派なロックナンバーで、「ラスト5秒の逆転ファイター」の辺りで何故か泣きそうになった。

12. 「北斗の拳2」~TOUGH BOY
トムキャット渾身の、というかロウソクが燃え尽きる寸前に生まれた名曲も遠慮なくメタル化。だが元がハードロック&ポップという感じだったのだから、もっともっと遠慮なくぶっ壊してしまった方が良かった気がする。想定の範囲内なんて言葉はアニメタルには必要ない。

13. 「よろしくメカドック」~よろしくチューニング
上のタフボーイと比べて、ダサダサ80年代ロックだった原曲を、よりダサくメタル化してみせた点に男気を感じた。このダサさというか、ありふれた感が逆に熱いwやっぱメタルには笑いが良く似合う。

14. 「キャプテン翼」~燃えてヒーロー
英三の歌唱はもはや芸人の域に達していると感じる1曲。バックの轟音のパワーもさる事ながらとにかく英三の一つ間違うと演歌になってしまうような歌い方が危うくてたまらない。

15. 「タッチ」~タッチ
なんつうか南ちゃんが廃屋に連れ込まれて10人くらいのDQNに輪姦されているかのようなイメージである。きっとトゲ鞭で新体操やらされたりとか、「お前ボール得意なんだろ?」とか言われてギャグボールを咬まされたりして生中出しされまくってるに違いない。それ位の名曲である。(褒め言葉)

16. 「まんが水戸黄門」~ザ・チャンバラ
原曲を知らないせいかあんまパッとしない…。ていうかその前のタッチと、この次のルパンのインパクトが凄すぎた。

17. 「ルパン三世」~ルパン三世のテーマ
変態メタラー英三の存在感が暴発してしまった1曲。「真っ赤な薔薇はアイツの唇」の部分ですっげえ汚い音で 「じゅる」 っとツバをすするとことかほんとたまらない。バックの曲がどうこうより、とにかく英三の姿しか頭に浮かばないw

18. 「バトルフィーバーJ」~バトルフィーバーJ
こっからは戦隊メタルコーナー。このバトルフィーバーの歌は、そんな戦隊メタルの幕開けに相応しいメタル化に大成功したナンバーである。もっさりしてた原曲がスピード感溢れる隙のない名曲と化した。

19. 「電子戦隊デンジマン」~ああ電子戦隊デンジマン
曲自体はsyuのギターテクが冴え渡るかっこいい変調メタルなんだが、この曲に関しては原曲の完成度が凄すぎたような気がする。ちょっと勿体無い。

20. 「太陽戦隊サンバルカン」~太陽戦隊サンバルカン
野太いギターのリフとかで無理矢理持って行ってる感のある失敗作。これはちょっと微妙だなあ。

21. 「大戦隊ゴーグル5」~大戦隊ゴーグル5
そうかと思うとすぐにフォローしてくるのがアニメタルマラソンの強みか?このゴーグル5の歌はリズム隊のパワー溢れる問答無用の轟音メタルであり、自然と首を振りたくなってしまう。

22. 「超電子バイオマン」~超電子バイオマン
そしてゴーグル5に引き続きバイオマンでさらにヒートアップ!元がロック調なだけにメタル化しても全く違和感がなくて無茶苦茶かっこいい。もうグイグイ身体が持って行かれてしまう。

23. 「超獣戦隊ライブマン」~超獣戦隊ライブマン
原曲知らんので、なんか 「元からこうなのか?」 と思うほど違和感なくまとまっている。ただちょっと、失敗とは言わないけどインパクトの面で地味かもしれん。

24. 「レッドバロン」~レッドバロン
syuのギターの叫びと英三の熱いんだけどネチっこい歌唱、それを支える轟音リズム隊の仕事ぶりが良く分かる曲である。地味な導入から、サビに向かうにつれ開放感が増していく。

25. 「マッハバロン」~マッハバロン
ツェッペリンのロックンロールが始まるのかと思いきや、いきなりマッハバロン。メタルっつうかハードロックとしてすげえかっこいい。ポップなんだけど熱い。とにかく熱い。

26. 「優雅貴族マサキバロン:ウソ」~男の操~青春一期一会~
なんだかよく分からないタイトルだが、これは箸休め的存在のオリジナル曲である。が!全ての音をMASAKIがベースだけで弾いてるらしい!すげえ!なんだか分からないけどすげえ!

27. 「小さなスーパーマン ガンバロン」~ガンバロン’77
正統派のヒーロー曲なんだが、原曲を知らんので比較は出来ん。

28. 「少年探偵団BD7」~行くぞ!BD7
オレが生まれた年の作品なんかわからねえよ!と言いたい所だが、この曲だけ何故か2番まで演奏されており、途中でsyuの泣きのギターが思う存分味わえるメタラーにとって大満足な1曲。

29. 「闘え!ドラゴン」~闘え!ドラゴン
元はブルースリーブームに乗っかって作られた空手アクション番組だったらしいんだが、オレが生まれる前の話なんで詳しくは知らん。この辺でちょっと曲のバリエーションに不足感を感じ始める。(一説によるとsyuの引き出しの少なさが原因だとか言われてるんだけど、オレとしてはヒーロー系の作品の曲自体のバリエーションが飽和しちゃってるだけのような気が)

30. 「円盤戦争バンキッド」~駆けろバンキッド
メタルには擬音が良く似合う。「バンバン!バババ円盤ババンバン!」の部分だけでもう満足してしまうオレがいる。

31. 「流星人間ゾーン」~流星人間ゾーン
そしてレトロ作はさらに続き、ついに流星人間ゾーンである。予想以上にメタル化に成功しており、ヘドバンにもってこいなライブ感溢れる仕上がりに。

32. 「仮面ライダー スーパー1」~仮面ライダー スーパー1
そしていつしか仮面ライダーシリーズへ。確かスーパー1って手袋が色々と種類のあるヤツだった気が。手袋の色によって効果が変わるレインボーマン的なヤツだった気がするんだが、曲自体はちょっと微妙。

33. 「仮面ライダ-BLACK」~仮面ライダ-BLACK
あの特徴的なイントロを見事にメタルギターで再現してて、それがとにかくかっちょよくてニヤニヤしてしまう。曲のズンドコ感といい、流石に倉田てつをよりも英三の方が歌上手いなと感じるし(最初から比べるなよ)、これはちょっとオレ様のハートにヒットしましたよ。

34. 「仮面ライダーBLACK RX」~仮面ライダーBLACK RX
ズンズンと低音重視の静かな始まりから、サビの部分で切ないほどヒロイックな展開に。「仮面ライダー!黒いボディ!」の辺りでグっとくる。

35. 「逆転イッパツマン」~逆転イッパツマン
そしてついにボクらの山本まさゆきもメタル化の洗礼を浴びる事に(いやゴーディアンもそうなんだけど)。ピンクビッキーズをイメージしたのか知らんけども、女性コーラスはいらなかった気がする。女性コーラスの部分はメンバー達のシャウトでやって欲しかったなあ。だが曲は流石にかっこいい。何が凄いって轟音爆音にしても山本まさゆき以外の何者でもないのが凄い。

36. 「ヤットデタマン」~ヤットデタマンの歌
そして英三とsyuのデュエットでお届けするヤットデタマンの歌。やっぱ原曲がかっこいいと何してもかっこいい。「きたぞ~きたぞ~大巨人」の所でsyuの泣きのギターが被ってくるのがステキ。だがこれはもうメタルではなく、山本節をそのまま今の音にアレンジしただけのような気が…。

37. 「オタスケマン」~オタスケマンの歌
そして再び 『メタルには擬音が良く似合うシリーズ』 である。「キラキラキラキラスタースター」である。それにしてもこのスピード感はすげえ。こいつらにだけは助けられたくない。なんていうか、新幹線に乗ったヤツから「さあ掴まれ!」と手を差し伸べられてる感じである。掴まれるかアホ!

38. 「ゼンダマン」~ゼンダマンの歌
そしてほのぼの山本節なゼンダマンも疾走感溢れるハイスピードメタルと化しており、「空を海を山を越え時を越え」の辺りがメタルの泣き要素と素晴らしくマッチしている。まさかゼンダマンの歌で首振る時が来るとはおもわなんだ。

39. 「ヤッターマン」~ヤッターマンの歌
そして山本まさゆきメタル化の最後はこの曲。やはり「ウーワンワンワン」とかメタルに合うなあ。メンバーもノリノリなのか、ツーバスのズンドコさといい、そこに被ってくるsyuのハイトーンギターといい、まさにメタル祭りな大騒ぎな1曲である。とにかく楽しそうだ。

40. 「新世紀エヴァンゲリオン」~残酷な天使のテーゼ
オレ様が最もビックリしたのがこの曲。まさかここまで違和感なくメタルに仕上げるとは思わなかった(ていうか英三が残酷な天使のテーゼを歌いこなすとは…)。メタル特有の切なさとか哀愁とかが見事にマッチしており、いっその事エヴァの主題歌はこれだったという事にしてしまったらどうか?と思うほどに感動。

41. Tomorrow Never Die
アルバムの最後を締めくくるオリジナル曲なんだが、激しくゲーム音楽を感じる。確かこんな感じの曲をどっかで聞いた事がある…。なんだっけなあ?グラディウス2のサントラだったかなあ?アニメタルマラソンの勢いでくたびれた身体をそっと癒してくれるギターがたまらない。泣きのギターというより、母性を感じる優しいギターという感じ。

■総評
なんというか、アルバムを通して聞くとどっと疲れが出る…。メンバー達の卓越したテクニックもさる事ながら、大人が本気で遊んでる感がたまらん。

アニメタルマラソン1とか2の曲調の幅広さはないんだけど、その代わりアルバム全編通して統一感があって、かけっ放しにしておくのに最適だと思われる。(マンネリ化の一歩手前という悪い言い方もあるがw)

アルバムの中で特に気に入った曲を挙げてみると、タッチ、炎のキン肉マン、ゴーディアン、仮面ライダーブラック、キャプテンフューチャーの歌辺りかなあ。中でもタッチの南ちゃんがツーバスに合わせてパンパン犯されてる的な強烈さがたまらん。

あとメタル化に成功してる曲と失敗してる曲の落差が目立つ点が気になった。聴く前はバラタックとかメカンダーロボみたいに原曲がダサくてどうしようもない場合は、メタル化したってどうにもならんだろうと思ってたんだけど、聴いてみたら予想を遥かに越えるかっこよさで驚いた。それよりむしろミッドナイトサブマリンとかデンジマンといった、原曲がメタルと真逆でかつ弄り様がないほど完成度の高い曲はどれもこけてしまっているような気がする(失敗というより、原曲の完成度に及ばなかったというべきか)。

しかしそうしたちょっと微妙な曲があったとしても、メドレー形式の利点を上手に活かしており、次の曲では見事にフォローしている所が流石である。ミッドナイトサブマリンでちょっと微妙かなあと思ってもすぐにキャプテンフューチャーの歌とかキン肉マンの歌で盛り返すし、サンバルカンの歌が激しくつまらん!と思っても、ゴーグル5やバイオマンでまた夢中でヘドバンといった具合。

それと何と言ってもアニソン愛やメタル愛が伝わってくるのが何より嬉しい。「売れるため、食うためにアニソンをメタル化してます」 という雰囲気が無く、「アニソンもメタルも好きなんだ!」とか、「やるからにはとことん遊ぶぜ!」という姿勢が素晴らしい。

アニメタルのヒットで数多く生まれた「○○メタル」みたいな企画物があっという間に潰れていく中、アニメタルだけが10年もの間続いた理由はそこだろうなと。

あと蛇足ながら山本まさゆきの歌(特にタイムボカンシリーズ)はメタルにしようがどうしようが山本節以外の何物でもないと実感した。山本まさゆきすげえ…。


<アニメタルマラソン5 >

メタルとしてもアニソンカバーアルバムとしても名盤でした。
ほんとバカにしててごめんなさい。