3日目の朝は雨が上がり、草木が一斉に生き返ったような素晴らしい朝だった。






ここ、久万高原の由良野の森の広大な敷地には縄文時代の遺跡があり、神聖な土地として人は住まなかったものが、明治(?)から開拓民が山野を切り開き果樹園として、戦後は国策で養蚕の為の桑畑として人が入って来たけれど、昭和40年代から一人減り、二人減りしてだんだん人が住まなくなり放置されていたのを15年くらい前に鷲野さんご夫婦が移住してきて、荒れ放題だった土地を再開拓したものらしい。

なので、今の季節は桑の実取り放題。



羊と山羊を飼っているというので見に行って見たけど、



羊はいたけど、山羊は小屋の奥に隠れて見えなかった。






鷲野先生のご主人、ひろしさん特製のパンケーキ付き朝ごはん。
ここで、チャーリーからアメリカではバターは冷蔵庫に入れないで常温で置いておくという話を聞いた。パンやケーキだけでなく炒めものや煮込み料理にも使うのですぐになくなるらしい。サラダ油はサラダのドレッシングだけみたいです。



そんな話をしながら、朝ごはんを食べてから前日皆で絞って染めたさらし布の出来上がりを見るために、漬けていた藍染め液から布を取り出してほどいてみた。



思ったより色が入り、(いつもは障害者施設の利用者に絞ってもらうので)模様もデザインもハイレベルなものが出来たと、しのぶさんが喜んでいた。



それから、もう一度裏の小川に行って昨日の残りの葛を洗って繊維を取り出しました。



洗い方が甘くて表面のケバがいっぱい残っていたけど、綺麗な繊維が取れました。




中の茎の部分も、草履や籠に編めば使えるそうです。



最後に感想のシェア会をして、今回参加者が私一人だったのでとてもとても贅沢な時間だった事、嵐のような雨が降ったにもかかわらずスケジュールは全部こなせた事、時間の感覚が狂って、あっという間に一日が終わったのに過去5年間で最もレベルの高いワークショップになった事等素晴らしい3日間になったと私と鷲野先生、しのぶさんで喜びあいました。



由良野の森を出て、初日に鷲野先生から聞いていた松山の三津港にある鈴木邸という古民家にある貴重な葛布のふすまを見せてもらいに行きました。

鷲野先生もそうですが、ここの岡崎さんという方もNPO法人をされていて、地域の良い物を残すため、人と人との繋がりを大事にしながら地域活性化の為の活動をされています。





明治時代に建てられた鈴木邸には、お殿様の邸宅でしか使われなかったというくらい贅沢な、葛布で出来たふすまがあり、何十年も放置されていたのでネズミが齧ったり、虫食いやネズミのオシッコで汚れていたので全部捨てて張り替えようと思ったらしいのですが、価値のわかる建具屋さんが、「これはとても貴重なふすまなので捨ててはいけない」と言われ、何とか一部屋分だけのふすま分の葛布を確保し、丁寧に剥がして洗い、再生してくれたそうです。



携帯カメラではこれが限度なのですが、そばで見ると本当に光り輝く美しいふすまでした。



鈴木邸に行く途中、椿神社の看板が目に入ったので、帰りに寄ってご挨拶させて頂きました。








今回はお隣の四国とは言え、車で4時間近くかかる近くて遠い久万高原で素晴らしい出逢いがあり、どこにでも生えている葛でこんなに美しい糸が作れるという事を知り、必要な人に逢い必要な知識を手に入れました。


ああ、もっと近ければしょっちゅう通うのに〜
と思えた久万高原でした。ツリーハウスや小さいバンガローもあってお泊り出来るので、誰か一緒に遊びに行く人いないかな…