「まだかしら~」
「そうね、もうそろそろのような気がするけど~」
そんな言葉が、聞こえてくる。
その子が目を開けると
「目を開けたぞー」と
「目を開けた。開けた。」
「もう、目覚めないのかと心配したよ(笑)」
口々に人々の中央のベビーベットで眠っていた
一人の子供が目を開けたことを喜んでいる。
さまざまな服装をし
国も時代もさまざまに感じさせる人々
そんな人々が集まり
ずっとこの子の目覚めるのを
心待ちに待っていた。
その時が近づくにつれて
皆はわくわくし、喜びの空気に包まれていっていた。
一人の男性がその子を覗きこみ
「なんて、賢そうな目なんだぁ」といえば
同じようにのぞきこんでいた女性は
「何もかも包むような澄んだ優しい目に私は見えるわ。」
その言葉を聞き
次々と皆がのぞきこみ
それぞれにその子のいいところを喜び合う。
そんな人々の言葉に安心したかのように
その子は、また、眼を閉じ眠り始めた。
その姿を見て、皆がびっくりする。
子は、長い眠りの時を過ごし
目覚めたときからにその人々と一緒に旅立つことになっている
それを人々は楽しみにしていた。
その子を支えていくこと、周りで見守ること
それがその人々の仕事で、喜びだった。
だから、こんなにも待ちわびていた。
「この子はちょっとのんびり屋のようだな。(笑)」
という声が人々の後ろから聞こえてくる。
この人々の長老が、その子の近くによって
その子の顔を覗きこみながら
「かわいいの~」といい
長老の長い両そでの裾にしがみつくようにしてついてきた子供たちも
同じようにのぞきこみ
「かわいいねぇ」と口々に言い微笑み合う。
その様子を見て長老も微笑む。
「この子は、ただ単に眠っておるだけじゃ
永い眠りの眠りとは違い、すぐに目覚めるだろう
それまでに、いつでも出発できるように
皆は準備をして置いてくれよ。
今回は長い旅になりそうじゃぞ」と嬉しそうに人々に話す。
それを聞いて安堵し、わくわくとし始める人々。
「じゃ、まずは、おれたちが・・・」といって
2人の若い男がその子のベットの脇につく
「おい、大丈夫なのか~」
「もう、準備出来てるのか~」と
冗談交じりの声がかかる。
「前から、決まってからもう準備万端さぁ。
長いこと準備しすぎて腐ってしまったものがあるかもなぁ」
・・・と冗談を言いながら返事をする二人の男の一人。
一人は無口でとてもまじめそうな男
もう一人は、よくしゃべり、ユーモアがある。
まったく反対のタイプなのに
どこか似ている感じがするふたりだ。
その二人が、まずその子の一番近いところで
その子を支え見守ることになっている。
その役割は、その子の成長とともに
人々の中で、交替する。
その子が、また、長い眠りにつくまで
その続き旅も続いていく。
その子と同じように子を見守りながら旅を続けている他の人々たちもいる。
そして、さまざまな場所でそんな子たちが目覚め続けている。