『銀河鉄道の夜』朗読公演にお越しくださり、本当にありがとうございました!!
コロナによる延期時期を挟んだ四年前から、私たちは準備を始めていました。
この膨大な作品を、どんなに長くても1時間半に収めなくては、
せっかくの公演が、読み手と聞き手の疲労によって損なわれてしまいます。
賢治独特の遊び心がぎゅーっと詰まってはみ出そうなほどのディテールを一つ一つ精査して
断腸の思いで恐る恐るカットして
それらを外して全体を読んでみて、大筋の流れに差し障りが無いかどうかを再三吟味を重ね
そして、ダイジェスト版みたいな印象にならないようにと、ダニーがプロローグを構成してくれまして
やっとのことで、1時間半ほどの、おはなしDecoBee♪版『銀河鉄道の夜』が出来上がったのでした。
あんなにたくさんカットしたにもかかわらず、賢治の、まるで子供のように気ままに自由な発想で描かれた世界は、
相変わらずカラフルで、いろんないい匂いがして、いつもどこからか風が吹いて、空間に充満している!!
これはすごい事です。
稽古の段階から私は、興奮しない日はありませんでした(T . T)
少年ジョバンニの心情か実にリアルに伝わってきて、読むたびに私は彼に突き動かされていくのです。
彼が本当にすぐそこで動いてる本物の男の子みたいに思えてきて
しかも、彼が発する言葉はどれもこれも、どうしてこうも深く共感できるのだろうと思い巡らして、
ああ、この子は「あの時」の賢治なんだな
いや、これは、「あの時」の私のかわいいかわいい甥っ子達だ
いや、「あの時」の少年であった私の父だ!
いやいや、
これは、、、
「あの時」の、私だ、、、
そう思い至ったらもう、子供のように涙が出て止まらなくなったのでした。
寂しさ、不安、悲しみ、恐怖、嫉妬、苛立ち、後悔、憧憬、希望の兆し、、、
人の胸の中で同時に渦巻く無数の心象を、賢治はこの物語の中に見事に込めているのです。
言葉では容易に表しきれないし、受け止めきれない『死』と
それを取り巻く現象を、まさしく、青い幻燈を映すように、
賢治は、夜空すべてを使って私たちに見せてくれているのです。
ごとごとごとごと
彼の妹さんをはじめ、
今生きている私たちと別れてしまった人々を乗せた銀河鉄道を走らせて。
ああ、賢さ、
ありがどござんちゃ!!
そして皆さま!
改めまして御礼申し上げます。
3月11日14時発車
信濃町発、東北各地経由の
銀河鉄道へのご乗車
誠にありがとうございました。
私は、賢治と皆様とご一緒したこの旅を、きっと生涯忘れることはないでしょう。
金沢映実(Bee)