3年前の4月のこと、新生活を迎え、 ワクワクと胸はずむ春の陽気が漂う中、1人の高校生、M君が私のところへ相談をしに来てくれました。 「この先どうして良いかわからない、、、」との一言。 話を聞いていると、周りはやりたい部活に入り、新しい一歩を踏み出しているのに、「自分は何をしていけば良いかわからない。」とのことでした。M君は中学生の頃より、腰椎分離症を患っており、ずっと続けていた野球をすることへの恐怖と不安に押しつぶされている状態でした。 正座をするのも痛い。 バットを振ることも、ボールを投げることも腰に負荷がかかり、痛々しい姿でした。 私はこれから大きな可能性を持つ高校生に対し、突然の相談に何と答えて良いかわからず、沈黙が続きました。
  「おさづけさせてもらう。 ひとまず野球を続けてみよう。どう責任を取れるかもわからない。ただ今は親神様に働いてもらえるように一緒に頑張ってみよう」と思い切った返答で彼と約束をし、その日からM君との神様タイムが始まりました。
 毎日のおさづけを通して、M君は朝勤めに足を運ぶようになり、身の回りで自分にできるひのきしんをしたりと、 高校生とは思えないほど素直にまっすぐ神様と向き合っていました。この姿を通して私は、なるほど。親神様はM君の姿を通して神様と向き合う姿勢、不自由な中から生まれる小さな喜びを教えてくださっているのだと教えてもらいました。普段何気なく過ごしていれば感じることのできない自由に動く身体への感謝、自分の有り難すぎる身体、このように考えていると、自分のどうして良いかわからない不安な心が感謝の心へと変わっていくようになりました。
 そんな僕とM君の神様タイムを続けること、 一年と少しが経過した翌年の夏 M君が突然、私に「今までありがとうございました、 最近調子が良くなってきたのでおさづけもう大丈夫です」と報告しにきました。そして寂しさと共にM君とのおさづけの取り次ぎが終わりました。
 2年生になり新チームとなった野球部の県大会の決勝戦が秋に行われ、初めて観戦をさせてもらいました。 電光掲示板にはM君の名前があり、打率が5割を越える大活躍で、彼の顔からは笑顔が溢れていました。 親神様は粋なお計らいをしてくださる。 苦しい中を越え、痛みを越え、 その先でこんなにも輝かしい結果を用意してくださる。 あの日、M君と出会ってなければ感じることのできない感動でした。 心が入れ替わった先に御守護が待っているんですね。