◆3月17日の将棋対局結果
(1)第73回NHK杯将棋トーナメント決勝
①●藤井聡太竜王名人(八冠)vs〇佐々木勇気八段
※佐々木勇気五段(9日後にに昇段)が藤井聡太四段の連勝を29で止めたのが2017年7月2日ですから早いもので6年8カ月余り経つことになります。その間に藤井聡太竜王名人が書き換えたり樹立したりした記録は幾何であることか。ご本人が自らのピークと考えているらしい25歳までに3年4カ月ほどありますがどれ程凄い記録が産まれるか興味は尽きません。更にその先は?少なくとも40歳になるまでは毎年何らかの記録が産まれることでありましょう。それが故にあと19年生きていたいと願うものであります。
※さて、歴代最高勝率.8545(1967年に中原誠16世名人が六段時代に樹立・47勝8で)の更新が懸かった1局ですが対局は既に終わっているので勝っていたのか敗けていたのかは関係者のみ知るところで癪に障るものがあります。
※藤井聡太竜王は目下45勝7敗、勝率.86538。
・NHK杯〇なら46勝7敗、勝率.86792となって残るは第49期棋王戦第4局以下。
・棋王戦第4局〇なら47勝7敗、勝率.87037で歴代最高勝率を大幅に更新。
・棋王戦第4局●なら46勝8敗、勝率は一気に.85185まで降下してしまいます。
しかし、第5局が残るので〇なら47勝8敗となってタイ記録となります。
・NHK杯●だと45勝8敗、勝率.84906。棋王戦第4局に◯でも46勝8敗、
勝率.85185で記録更新ならず。
要するにNHK杯決勝戦で佐々木勇気八段を破って優勝することが必須条件な
のであります。なにしろ6勝1敗というペースで1年間戦わなければならない
ので大変です。それが故に57年の間破られることが無かった大記録。
※斯くの如き歴史的、運命的大一番は奇しくも昨年の第72回と同じ顔合わせになりました。佐々木勇気八段が昨年のリベンジを果たしNHK杯初優勝を飾り、藤井竜王の歴史的快挙を阻止するか?もしNHK杯優勝となれば「全棋士参加の棋戦」においても初優勝となります。対戦成績は初戦の後は藤井竜王が4連勝中で通算4勝1敗。藤井竜王が勝てば2年連軸2回目の優勝となります。
※マスコミの記事の論調から「歴代最高勝率更新」の前触れというかほめかしのようなものを感じ取れなかったのでNHK杯は敗退している可能性が高いと読んでいましたが「当たり」でした。佐々木勇気八段の攻めが鋭く押されて一時は敗勢に追い込まれましたが寄せ合いに活路を求めて形勢逆転に成功。しかし、必勝態勢に入りながらまさかの「寄せ損ない」が生じて「うっちゃり」を食って敗北。歴史的記録更新は一瞬にして雲散霧消。佐々木勇気八段は昨年の準優勝のリベンジを果たしてNHK杯初優勝、2013年の第3期加古川清流戦以来10年ぶり2度目の棋戦優勝、前棋士参加の棋戦初優勝。
(2)第49期棋王戦五番勝負第4局
②●伊藤匠七段(先・0勝3敗1持将棋)vs〇藤井聡太棋王(3勝0敗1持将棋)
※伊藤匠七段は今年度49勝16敗、勝率.754ですが対藤藤井聡太棋王戦が0勝7敗なのでこれを除くと49勝9敗となって勝率.844と立派な成績。最早№2の座に着いたと観て良いかもしれませんが藤井聡太から初勝利を挙げて第5局を作るかどうか?開催予定地の「東郷神社」の期待に答えられるか?
※伊藤匠七段は中盤過ぎまで上手く差して優勢に漕ぎ着けましたが藤井聡太棋王の勝負手にまたも幻惑されたようでバランスを崩して劣勢になり徐々に追い込まれて対藤井戦初勝利ならず10連敗。藤井聡太棋王は棋王戦2連覇、タイトル戦敗け無しの21連勝、タイトル戦での連勝は王座戦第2局から3連勝、竜王戦4連勝、王将戦4連勝に棋王戦の3連勝を加えて通算14連勝で歴代単独2位に。また、今年度の対局を全て終了し46勝8敗、勝率.85185。歴代最高勝率の.8545には及びませんでしたが2013年度に中村太地五段(現八段)が記録した40勝7敗、勝率.85106を僅かに上回って歴代2位となりました。タイトル戦が主戦場となっている位置で5勝1敗以上6勝1敗のペースに迫る勝率は正に異次元の強さと言えましょう。
◆将棋連盟 棋士別成績一覧(レーティング)