順位戦の面白さ・その3・第72期C級2組(2023.12.12) | 東京の四季(庭園&公園)のブログ

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順位戦の面白さ・その3

【第72期・C級2組】2013年度

 

◆今回から過去10年間の順位戦を振り返ってみることとします。10年ひと昔と言いますが藤井聡太君が登場するまで将棋界に関する関心が薄れていたこともあって懐かしい棋士が現役であったことを知ったり現在A級、B級1組で活躍している若手棋士のデビュー当時の躍進の過程などが分かって良い処に目を付けたものだと我ながら感心するものです。2014年度はまだ羽生善治九段が名人で行方尚史八段(現九段)が挑戦。羽生名人が4-1で名人を防衛しています。先ずはC級2組から。

◆懐かしい名は森雞二九段、内藤國雄九段、田中魁秀九段の3名。

森雞二九段は1946年4月6日生まれで77歳。1968年4月に21歳でプロ入りですが将棋を覚えたのは16歳高校生になってからという晩学の人。道場に通い詰め、夕食を摂らずに夜11時まで将棋を勉強。半年でアマ三段にまで力を伸ばして相手がいなくなり「もっと強い人と指したい」と大友昇九段の門を叩き奨励会に入会。大友はプロには絶対なれないと諭したが、「プロになる気は全然ない」と言って奨励会受験を認めさせたとのこと。試験は四級で2勝4敗で不合格だったが記録係要員として5級で入会できた。プロになってからも断食を続けたり、1978年度の第36期名人戦で中原誠名人に挑戦した時には剃髪して僧形で対局場に現われて関係者を驚かせたり、1982年には「真剣士・小池重明」と差し込み三番勝負を行い、角落ち、香落ちに敗れ、最後の平手にも敗れて将棋界に衝撃を与えたり、諸々の放言三昧など一風変わった人物が多かった棋士の中でも格別の異色人でした。タイトルは棋聖と王位を掻く1期獲得、A級在籍は10期。2017年5月71歳で引退。通算成績866勝879敗。弟子に里見香奈女流四冠など全て女流棋士のようです。

・内藤國國雄九段は1939年11月19日生まれ84歳。1958年10月18歳でプロ入り。タイトルは棋聖と王位を各期獲得、A級在籍は17期。通算成績は1132勝1000敗。2015年3月75歳で引退。年限ギリギリまで辞めなければ加藤一二三九段の現役最年長記録を上回ることが出来ましたが「長時間の対局に耐えられなくなった」と引退。現役の弟子は三枚堂達也七段。

・田中魁秀九段は1947年3月2日生まれ76歳。1969年10月22歳でプロ入り。最高位はB級1組(3期)。通算成績は659勝780敗。2015年12月68歳で引退。弟子は福崎文吾九段、阿部隆九段、長沼洋八段、佐藤康光九段、小林裕士七段。

◆その他の顔ぶれを観るとフリークラスに編入された棋士や引退した棋士が12名ほど目に付きました。

◆第72期のC級2組は総勢46名で10年間で9名増えています。

・C級1組から落ちて来たのは森雞二九段、内藤國雄九段の2名。

・新四段は上村亘、石田直裕、千田翔太、竹内雄悟の4名。

・昇級者は①大石直嗣六段(18位・10勝0敗・当時24歳・現七段)②澤田真吾五段(4位・9勝1敗・当時22歳・現七段)③佐々木勇気四段(5位・8勝2敗・当時19歳・現八段)の3名で次点は6位で8勝2敗の永瀬拓矢六段(当時21歳・現九段)。永瀬六段は2連敗スタートから8連勝で追い上げましたが順位1枚の差で次点。前期で佐々木勇気四段が8勝2敗で有ったのに対し永瀬六段は7勝3敗であった結果が明暗を分けたことになります。大石六段は2016年度の第75期でB級2組に昇級。澤田六段は翌第73期でB級2組に連続昇級、第80期でB級1組に昇級。佐々木勇気四段は第78期でB級2組に昇級、第79期でB級1組、第81期でA級に昇級。C級1組を抜けるのに6期かかりましたがA級には3期でスンナリ昇級。

・降級点取得のラインは3勝7敗でしたが4名が順位の差で助かっています。村中秀史六段(現七段)は順位2つの差でセーフでした。3つ目の降級点を取得してフリークラス陥落となったのは伊奈祐介六段(現七段)1名のみ。C級1組から落ちて来るのが小林健二九段、土佐浩司七段、桐山清澄九段、加藤一二三九段の4名。この結果第74期は50名で戦われることになりました。