お昼を過ぎた頃、湊口がやってきた
「どうも。青木さんから聞きました。どうかされましたか?」
「いや、少し話がしたかったから」
「話とは?」
「俺って、何の薬を飲んでんの?」
「痛み止め、抗生剤、あとはいろいろ」
「なんだよ、いろいろって」
飛嶋はイラッとした
困った様子で湊口は答える
「詳しくは話せないんだ」
「またそれか…聞き飽きたな。じゃあ、これって誰かを救う為?」
「…そうだ」
「誰を?」
「世の中の誰かだ」
湊口は答えをぼかす
「誰かか…。夢を見たんだ」
「夢?」
湊口は腕を組んだ
飛嶋は下を向き話す
「妻と、娘が出て来た。俺は医者とスーツのおっさんの話を聞いて書類にサインした。もしかして、これは記憶の一部なのか?」
「それは僕にも分からない」
「そうか。じゃあ、もう1個だけ」
「なんだ」
「あと何日だ?」
「?」
飛嶋はキリッと湊口の目を見た
「あと何日生きられる?」
飛嶋の問いに湊口は少し間をおいた
「人の寿命は分からない」
飛嶋は目線を湊口から外した
「そうか、それもそうだな。呼び立てて悪かった」
「いや、またいつでも呼んでくれ」
湊口はそう言うと出て行った