7月7日 七夕様ということで

2021年の「Bar Tiny」の画像を編集して

ショートストーリーにしてみました。

 

ここは「飲み屋横丁」の一番奥のBar。

白髪交じりの頭は綺麗に整えられ

白いシャツはパリッと。

物静かな雰囲気のマスター。

「いらっしゃいませ」

ふらっと立ち寄る常連さん

賑やかな近くのOLさん

「マスター聞いて、この子またふられたの」

「それは残念 こちらのカクテルで新しい恋を」

 

「こんばんは」

「いらっしゃいませ」

入ってきたのは、ジュエリーデザイナーのヒロ君

「忙しくて やっと一段落」

「社長おっしゃっていました。ヒロはわが社の宝だって」

OLさん声をかけます

「へ~ヒロ君 いいようにこき使われているんじゃないの」

「”こき”そうでもないけど・・・」

OLさん二人は、常連のおじさん達に

カラオケに誘われ出て行きました。

ヒロ君 タイミングを待っていたようです。

「マスタービールください」

なんとなく モジモジしながら

「遠恋の彼女がいて、プロポーズしようと

思っているんです」

「へー きっと彼女さんも待っていたでしょう。

 指輪もご自身デザイン?」

「ええっ デザインコンペで最優秀賞のを」

「なんて言葉をかけたらいいのか」

「飾らなくていいんですよ、自分の思いを

そのまま紡いでください」

「わかりました やってみます」

グラスを傾ける彼の表情をを見ていて

ふと 若い頃の自分を重ねていた。

 

数日後 ヒロ君は可愛い女性を伴い

店に入ってきた。

「いらっしゃいませ」

「マスター綾乃さんです」

願いが叶ったようです。

「さあ どうぞ。私からのお祝いです」

客も途絶えたのでそろそろ閉店

 

マスターは引き出しから小箱を取り出し

小箱はあちこちへこんだり擦れたり。

静かに蓋を開いた

中は空・・・

あるのは あの日の思い出

そっとなで 水割りを口に含んだ。

 

店の戸締まりをしてふと見上げた空

キラッと光が流れた

おわり