何時もの日常の始まり
「あなた ご飯ですよ」
「ご飯 少なめにしてくれ」
「体調悪いのですか」
「いいよ 体重が増えたんだよ」
「歩くか ジムでも行かれれば」
「歩いてるさ・・・」
「今日は、10時からコミセンで町内会の会合、お願いしますね」
「10時 コミセン なんだよ」
「え~っカレンダーにも赤丸、昨晩も
確認でお願いしましたよ」
「そうだっけ?」
朝食後、定位置にて。
”ピンポン”
「あなた 出てくださいな」
「は~い ご苦労様」
「宅急便 綾からだ」
ごそごそ
「おい 酒だぞ。カード入っている
何々 お父さん 体調はいかがですか
飲み過ぎには注意 と言いながらお酒ですが
お母さんの管理の下、楽しんでくださいね。
お父さんの可愛い娘 綾」
「あら~ 2本も 奮発ね。お礼の電話してください」
「おまえしてくれ」
「”お父さんの可愛い娘”でしょ、ご自分で」
翌日は釣りに出かけて行きました。
「今夜は俺の包丁さばきよ。包丁研いでおいてくれ」
「ただいま~」
「お風呂湧いていますよ」
「ん? 包丁の出番はなさそうね」
「どちらから 開けますか」
「うん 両方」
「いい酒だ、綾 詳しかったっけ?」
「なんか施設の利用者さん、造り酒屋の社長さんだったとか、
なんで スタッフは「社長さん」て呼ぶそうよ」
「ふ~ん 俺はなんて呼ばれるかな」
「その時までにいいじいさんの練習されたら」
「うるさい。この卵焼きは甘いか?」
「いやですよ いつものですって。
味もわからなくなったんですか?」
「あのな~ 綾が中学の時調理実習でならった
卵焼き、綺麗に焼きたいって毎日
作ってただろ、綺麗にできた日、
一口入れたら”塩からい”
砂糖と塩間違えたんだよ。」
おわり